第三章:プチプラの魔法

仕事帰り、ミクは駅前のファストファッション店に立ち寄った。


「ここのところ…シックな感じが続いてたから、ちょっと遊びを入れようかな」


手に取ったのは、控えめなグレーのニットと、少し短めのAラインスカート。


どちらもプチプラだが、素材とシルエットにこだわって選んでいる。


ミクは洋服に大金をかけない。


その代わり、数多くのプチプラアイテムを組み合わせ、シックな装いからラフな格好、時にはミニスカにブーツといったバラエティに富んだコーディネートを楽しむ。


「男受けする服装」――これもまた、ミクが長年かけて磨いてきた技術の一つだ。


客観的に見て、ミクの容姿は「中の下」と言われても仕方ない。


鏡に映る自分を冷静に見つめ、彼女はそう認めている。


だからこそ、努力する。


単に露出を増やすのではなく、隙を見せるタイミング、装いの変化の間合いを計算する。


例えば、シックな落ち着いた装いを数日続けたあと、突然ミニスカとブーツで登場する。


周囲の「えっ?」という驚きと、それに続く「意外とかわいい」という気づき。


そのギャップが、彼女の魅力を引き立てる。


更衣室でコーディネートを確認するミク。


ニットの袖を少しまくり、首元のボタンを一つ外す。


ほんの少しの「隙」が、堅すぎない可愛らしさを演出する。


「よし、これで行こう」


翔平とのデート用の服装が決まった。


今日は「お姉さん」というより「ちょっと遊び心のある女性」を演じてみよう。


(続く)

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