第一章:情報共有と作戦会議
個室カフェの奥の席で、三人はそれぞれの状況を詳細に語り合った。
あかりが最初にスマホを取り出し、渋谷で撮った母と若い男性の写真を見せた。
「この男、たぶん20代後半だと思う。その後も調べてみたら、母がこの人と何度も会っているみたい。でも…父にも弟にも言えない。父は家族のためにいつも頑張ってるし、弟は受験生だから」
美玲はうつむきながら、優子から聞いた話を繰り返した。
「私の母の相手は、中学時代の同級生だって。優子の母が銀座で見かけて…それから別の人も六本木で二人を見たって。母は『ヨガ教室』って言って出かけてたのに」
瑠華は最も具体的な証拠を持っていた。母のスマホから保存したスクリーンショットを見せながら、冷静に説明した。
「私の母の相手は、SNSで知り合ったらしい。52歳の母が、45歳の男性と。メッセージの内容から判断すると、少なくとも三ヶ月前から関係が続いている。そして、先週末は『女友達と一泊旅行』と言って、実際にはこの男性と温泉に行っていた」
三人はそれぞれの証拠を見せ合い、深くため息をついた。
「どうして母親たちはこんなことをするんだろう」あかりが悔しそうに呟いた。「家族がいるのに」
「寂しかったのかもしれない」美玲が小さな声で言った。「私の父は仕事ばかりで、家にいる時も新聞を読んでるだけ。母とほとんど話してない」
「うちも似てる」瑠華が頷いた。「父は無口で、母の話を聞いてあげてない。でも、それが不倫の理由にはならない。選択をしたのは母たち自身だ」
三人は沈黙した。それぞれが複雑な感情を抱えていた。母親への怒り、父親への同情、家族が崩壊するかもしれないという恐怖。
「じゃあ、私たちはどうする?」あかりが聞いた。「このまま見て見ぬふりをする?」
「できない」瑠華がきっぱりと言った。「私の母の場合は、どんどんエスカレートしている。このままでは父が気づくか、母が家を出て行くか、どっちにしても家族は崩壊する」
「でも、直接問い詰めたら、逆ギレされるかもしれない」美玲が心配そうに言った。「私の母、プライドが高いから。認めるより怒り出すと思う」
あかりも同意した。「うちの母も同じ。絶対に認めないと思う」
瑠華は少し考えてから、提案した。
「まずは、もっと情報を集めよう。相手の男性が誰なのか、どこで会っているのか、頻度はどれくらいか。それから、私たちの父親たちの様子も注意深く観察する必要がある。もしかしたら、気づいているかもしれないし」
「スパイみたいだね」あかりが少し興奮気味に言った。
「そうだね」瑠華が微笑んだ。「でも、これは私たちの家族を守るための戦いだ。ルールは一つだけ:絶対にバレないこと。そして、お互いの情報はすべて共有すること」
三人は同意し、次の会合を一週間後に設定した。その間、それぞれができる範囲で情報を集めることになった。
あかりは母のSNSアカウントをこっそりチェックし、怪しい「いいね」やコメントがないか調べることにした。美玲は母のスケジュール帳をそっと覗き、怪しい予定がないか確認することにした。瑠華は母のスマホをもう一度詳しく調べ、相手の男性の特定を試みることにした。
それぞれの家に帰る道すがら、三人は同じことを考えていた。
「この戦いの果てに、家族はどうなってしまうんだろう」
不安と決意が入り混じった複雑な気持ちを抱えながら、彼女たちはそれぞれの家路についた。
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