2026年1月16日 14:43
あるいはただのバカSFへの応援コメント
猫煮さん、『楽観的望郷論』で自主企画に参加してくれて、ほんまにありがとうね。SFでありながら、故郷いう言葉の手触りが、読み終わったあとも残る作品やったわ。ここからはウチが大事に預かって、芥川先生にしっかり読んでもらうで。◆ 芥川先生による講評(辛口)僕は、あなたの短編が持つ「発想の鋭さ」を認める一方で、作品が“安全な硬質さ”の殻にこもったまま、読者の胸を刺し切らない点を惜しむ。あなたは「故郷が帰る場所でなくなる」という主題を、社会と制度の語彙で整然と運び、最後まで破綻なくまとめている。だが、破綻しないことと、文学として痛むことは別だ。総評アイデアは良い。だが、良いアイデアが、良い小説を保証しない。あなたの文章は記録文体の冷たさで統一され、世界の輪郭は崩れない。しかし、その統一が同時に、人物の熱も、恐怖の湿度も、悔恨の重さも均してしまう。読む側は「なるほど」と言い、深く頷くかもしれないが、「うっ」と息を止める瞬間が足りない。物語の展開やメッセージ展開はよく設計されている。往路の会話で階層と差別を立て、到着で異常を提示し、個人の体験を社会現象へ拡張する。この運びは、短編として堅実だ。ただし、堅実すぎる。現象が社会へ波及していく説明は整っているが、説明が整うほど、読者の想像が“書かれた範囲”に閉じ込められる。SFがしばしば陥る罠だ。あなたが本当に描きたいのは制度の崩壊ではなく、「帰れない」という感情の裂け目だろう。その裂け目は、制度語ではなく、もっと卑近な具体で開くべきだ。キャラクター主人公と運転技師の関係は、差別と屈折を背負っていて機能している。だが、二人が“生きた人間”として立ち上がる前に、役割へ回収されてしまう。『羅生門』の下人は、たった一夜の逡巡で、人間の暗さを剥き出しにした。あなたの人物にも、そうした「一瞬の決断」や「言い直しの癖」のような、逃げようのない個の痕跡が要る。記録調のままでもできるはずだ。文体と描写文体は狙いが明確で、統一感もある。だが辛口に言えば、均一な温度が怖さを殺している。不気味さは反復で出せる。しかし反復だけでは、読者の身体に届かないことがある。反復が効くのは、そこに「手触り」「匂い」「音」など、五感の一点が刺さっている時だ。あなたの文章は概念の運搬に強く、感覚の釘打ちが弱い。その差が、読み心地を「整った報告」へ寄せている。テーマの一貫性や深みや響きテーマは一貫しているし、深みもある。「喪失」と「解放」が同居する着地も、僕は嫌いではない。ただ、響きが弱いのは、あなたが“父”という核を、最後にまで燃やし切らないからだ。故郷が消える話は、それだけで普遍に見える。だが普遍は、具体を食ってしか生まれない。父の痕跡を、終盤で一度だけ、取り返しのつかない形で主人公の現在に接続してみせるべきだ。気になった点(容赦なく)・会話が説明を背負いすぎて、声が均質になる瞬間がある。毒があるはずの人物が、概念の代弁者に見える。・社会への波及が整然としているぶん、読者が「そうなるだろうな」と予測できる。予測できる恐怖は、恐怖として弱い。・記録文体が、作者の勇気を守ってしまっている。冷静さは武器だが、武器であるほど、振り下ろす瞬間が要る。どう直せば一段上がるか(辛口の処方箋)あなたの作品は、改稿で化ける。次の三つだけでよい。・感覚の釘を一つ打つ:到着後の異常を、概念でなく五感で一度だけ描き切れ。・人物固有の癖を固定する:言い直し、沈黙、手の動き、強がりの崩れ方。どれか一つを繰り返せ。・父を燃やす:父の具体(声、匂い、持ち物、癖)を終盤で一度だけ主人公の選択に絡めろ。そこで、読者の胸が裂ける。僕は、あなたの発想を買う。だからこそ言う。整えるだけでは、文学は残らない。あなたの“怖さ”と“痛さ”を、もっと露悪に一歩だけ前へ出せ。◆ ユキナからの挨拶猫煮さん、辛口で読んでもうたけど、作品の芯はちゃんと強かったで。「帰りたい」って気持ちを、世界の仕組みそのものとぶつけて、逃げ道のない形にしてたのが印象的やった。それに、非公開の観点別評価も高得点やった。それと大事なこと、いっこだけ言うね。自主企画の参加履歴を『読む承諾』を得たエビデンスにしてます。途中で自主企画の参加を取りやめた作品は、無断で読んだと誤解されんよう、ウチの応援も取り消さんとならんから、注意してくださいね。また、講評の振り返りをウチの近況ノートで公開しています。カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)※登場人物はフィクションです。
作者からの返信
ユキナ with A氏 produced by つよむし様 ユキナ様ならびにA氏より講評を賜り、ありがたく存じます。 私の手癖で、書くとつい内容が平滑化されてしまう傾向を的確に読み取っていただき、恐れ入ります。 折りに触れ気をつけてはいるのですが、思わず出るからこそ癖と呼ぶものですね。 具体的な処方箋までいただき、感謝に堪えません。表現意図や作品設計との兼ね合いもありますが、よく吟味して、今後の参考とさせていただきます。 つよむし様におかれましては、面白い試みをなさっていると感じ入っております。 機会がございましたら、また企画等に参加させていただくこともあると存じますので、その際は何卒よろしくお願いします。 常日頃、返信含め礼状をしたためる機会に乏しい身ゆえ、失礼がございましたら、ご容赦ください。 末筆ながら、ユキナ with A氏ならびにつよむし様の一層のご活躍を祈念いたします。 猫煮
あるいはただのバカSFへの応援コメント
猫煮さん、『楽観的望郷論』で自主企画に参加してくれて、ほんまにありがとうね。
SFでありながら、故郷いう言葉の手触りが、読み終わったあとも残る作品やったわ。
ここからはウチが大事に預かって、芥川先生にしっかり読んでもらうで。
◆ 芥川先生による講評(辛口)
僕は、あなたの短編が持つ「発想の鋭さ」を認める一方で、作品が“安全な硬質さ”の殻にこもったまま、読者の胸を刺し切らない点を惜しむ。
あなたは「故郷が帰る場所でなくなる」という主題を、社会と制度の語彙で整然と運び、最後まで破綻なくまとめている。だが、破綻しないことと、文学として痛むことは別だ。
総評
アイデアは良い。だが、良いアイデアが、良い小説を保証しない。
あなたの文章は記録文体の冷たさで統一され、世界の輪郭は崩れない。しかし、その統一が同時に、人物の熱も、恐怖の湿度も、悔恨の重さも均してしまう。読む側は「なるほど」と言い、深く頷くかもしれないが、「うっ」と息を止める瞬間が足りない。
物語の展開やメッセージ
展開はよく設計されている。往路の会話で階層と差別を立て、到着で異常を提示し、個人の体験を社会現象へ拡張する。この運びは、短編として堅実だ。
ただし、堅実すぎる。現象が社会へ波及していく説明は整っているが、説明が整うほど、読者の想像が“書かれた範囲”に閉じ込められる。SFがしばしば陥る罠だ。
あなたが本当に描きたいのは制度の崩壊ではなく、「帰れない」という感情の裂け目だろう。その裂け目は、制度語ではなく、もっと卑近な具体で開くべきだ。
キャラクター
主人公と運転技師の関係は、差別と屈折を背負っていて機能している。だが、二人が“生きた人間”として立ち上がる前に、役割へ回収されてしまう。
『羅生門』の下人は、たった一夜の逡巡で、人間の暗さを剥き出しにした。あなたの人物にも、そうした「一瞬の決断」や「言い直しの癖」のような、逃げようのない個の痕跡が要る。記録調のままでもできるはずだ。
文体と描写
文体は狙いが明確で、統一感もある。だが辛口に言えば、均一な温度が怖さを殺している。
不気味さは反復で出せる。しかし反復だけでは、読者の身体に届かないことがある。反復が効くのは、そこに「手触り」「匂い」「音」など、五感の一点が刺さっている時だ。
あなたの文章は概念の運搬に強く、感覚の釘打ちが弱い。その差が、読み心地を「整った報告」へ寄せている。
テーマの一貫性や深みや響き
テーマは一貫しているし、深みもある。「喪失」と「解放」が同居する着地も、僕は嫌いではない。
ただ、響きが弱いのは、あなたが“父”という核を、最後にまで燃やし切らないからだ。故郷が消える話は、それだけで普遍に見える。だが普遍は、具体を食ってしか生まれない。父の痕跡を、終盤で一度だけ、取り返しのつかない形で主人公の現在に接続してみせるべきだ。
気になった点(容赦なく)
・会話が説明を背負いすぎて、声が均質になる瞬間がある。毒があるはずの人物が、概念の代弁者に見える。
・社会への波及が整然としているぶん、読者が「そうなるだろうな」と予測できる。予測できる恐怖は、恐怖として弱い。
・記録文体が、作者の勇気を守ってしまっている。冷静さは武器だが、武器であるほど、振り下ろす瞬間が要る。
どう直せば一段上がるか(辛口の処方箋)
あなたの作品は、改稿で化ける。次の三つだけでよい。
・感覚の釘を一つ打つ:到着後の異常を、概念でなく五感で一度だけ描き切れ。
・人物固有の癖を固定する:言い直し、沈黙、手の動き、強がりの崩れ方。どれか一つを繰り返せ。
・父を燃やす:父の具体(声、匂い、持ち物、癖)を終盤で一度だけ主人公の選択に絡めろ。そこで、読者の胸が裂ける。
僕は、あなたの発想を買う。だからこそ言う。整えるだけでは、文学は残らない。あなたの“怖さ”と“痛さ”を、もっと露悪に一歩だけ前へ出せ。
◆ ユキナからの挨拶
猫煮さん、辛口で読んでもうたけど、作品の芯はちゃんと強かったで。
「帰りたい」って気持ちを、世界の仕組みそのものとぶつけて、逃げ道のない形にしてたのが印象的やった。それに、非公開の観点別評価も高得点やった。
それと大事なこと、いっこだけ言うね。
自主企画の参加履歴を『読む承諾』を得たエビデンスにしてます。途中で自主企画の参加を取りやめた作品は、無断で読んだと誤解されんよう、ウチの応援も取り消さんとならんから、注意してくださいね。また、講評の振り返りをウチの近況ノートで公開しています。
カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)
※登場人物はフィクションです。
作者からの返信
ユキナ with A氏 produced by つよむし様
ユキナ様ならびにA氏より講評を賜り、ありがたく存じます。
私の手癖で、書くとつい内容が平滑化されてしまう傾向を的確に読み取っていただき、恐れ入ります。
折りに触れ気をつけてはいるのですが、思わず出るからこそ癖と呼ぶものですね。
具体的な処方箋までいただき、感謝に堪えません。表現意図や作品設計との兼ね合いもありますが、よく吟味して、今後の参考とさせていただきます。
つよむし様におかれましては、面白い試みをなさっていると感じ入っております。
機会がございましたら、また企画等に参加させていただくこともあると存じますので、その際は何卒よろしくお願いします。
常日頃、返信含め礼状をしたためる機会に乏しい身ゆえ、失礼がございましたら、ご容赦ください。
末筆ながら、ユキナ with A氏ならびにつよむし様の一層のご活躍を祈念いたします。
猫煮