第38話 上空にて

 ヘリの中は、思っていたよりもうるさかった。

 重低音のローター音が絶え間なく響き、振動が座席を通して身体に伝わってくる。ヘッドセット越しでも、声を張らないと会話が成り立たない。


 窓の外を見ると、雲が流れ、地上がどんどん遠ざかっていく


 向かいの席に座っているのは、対ダンジョン統合管理庁の職員だ

 スーツの上から簡易防護ベストを着込み、膝の上にタブレット端末を置いている。表情は硬い


 「まず、今回の状況説明をします」


 職員の声が、ヘッドセット越しに届く


 「今回のダンジョン溢れですが、自然発生ではありません」


 「ダンジョン教です」


 その言葉を聞いて、窓の外から視線を戻す


 職員は端末を操作し、いくつかの画像を表示する

 不鮮明な監視映像、

 魔法陣の痕跡、

 異常な魔力反応のグラフ


 「ダンジョン教の儀式、ですか」


 「はい。これまで確認されている現象と使われている魔法が類似してます」


 あいつらは、ダンジョンを神聖視している


 溢れも、

 犠牲も、

 全部が儀式の一部だ


 正直、理解する気もない


 「問題は、溢れが止まらないことです」


 職員は続ける


 「表に出ているモンスターをいくら倒しても、ダンジョン内部で異常が続く限り、次々と湧き続けます」


 「つまり」


 「ダンジョン教を止めない限り、この溢れは終わりません」


 単純で、最悪な話だ


 窓の外に目をやると、地上に黒い点が見え始めていた

 あれが、溢れ出たモンスターたちだろう。小さく見えても、実際は人を簡単に殺せる存在だ。


 「現在、すでに先行部隊が動いています」


 端末に新しい表示が出る


 「白崎パーティ、そして自衛隊の一部隊が、ダンジョン内部へ突入する作戦です」


 その名前を聞いて、少しだけ意外に思った


 「あの人たちが、中に?」


 「ええ。彼らは内部の異常源を叩く役目です」


 なるほど

 前に見た時より、確実に成長していた。あのパーティなら、深層まで辿り着く可能性はある。


 「じゃあ、自分は」


 職員は一瞬だけ言葉を区切った


 「あなたには、ダンジョンの外での対処をお願いしたい」


 タブレットに、広範囲の地図が表示される

 ダンジョンを中心に、赤いマーカーが無数に散らばっている


 「自衛隊が防衛線を敷いていますが、数が多すぎる。特に、強個体が混じり始めています」


 「下層クラス、ですよね」


 「ええ。一般部隊では被害が出かねません」


 英雄でも、突撃役でもない

 ただ、外に溢れた危険物を片付ける


 「先行部隊が内部でダンジョン教を抑えれば、溢れは止まります。それまでの時間稼ぎと、被害拡大の防止があなたの役目です」


 「了解です」


 即答すると、職員は少しだけ安堵したような表情を見せた


 「正直、かなり厳しい状況です」


 「分かってます」


 ヘリがわずかに傾き、進路を変える

 地上の様子が、徐々にはっきり見えてきた


 黒煙

 逃げ惑う車列

 そして、防衛線の向こうで蠢く影


 数が多い

 それに、動きが早い


 「地上に降りたら、すぐ戦闘になると思ってください」


 「問題ありません」


 派手なことをするつもりはない

 ただ、効率よく、確実に減らす


 「あなたの到着は、自衛隊にも伝えています。現地での連携は最低限で構いません」


 「助かります」


 人と組むのは嫌いじゃないが、今は時間が惜しい


 ヘリの高度が下がり始める

 風圧が強くなり、機体が大きく揺れた


 「もうすぐです」


 職員の声が、少しだけ大きくなる


 ローブの裾を押さえ、装備を最終確認する

 魔力の流れは安定している。問題ない


 ダンジョン教

 また、あいつらだ


 内側で戦うのは、主人公パーティと自衛隊


 役割は違う。

 だが、目的は同じだ


 これ以上、すきにさせない


 ヘリが、地上へと降下していく






本作を読んでいただきありがとうございます!


 勢いで描き始めた作品なので話の矛盾点や誤字脱字などがあったら教えていただけると嬉しいです!


 あと、主人公はモブなので基本的に登場人物に深入りなどはしません。当時人物がどんな性格か、どれくらいの強さかといったことが気になったらコメントしてください!


 そして少しでも面白いと思って頂けたら、作者の励みになりますので♡や⭐︎、感想などよろしくお願いいたします!!

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