冒頭の「定時おじさん」という社内ネタから、異世界と魔王へ一気に接続する発想の飛躍が巧みで、日常と非日常の落差が強い引力を生んでいます。
長すぎる技名という誰もが身に覚えのある黒歴史を、命懸けの戦いに直結させた点がユーモアと切実さを同時に成立させています。
語り手である三共さんの軽快な内心ツッコミが、重くなりがちな設定説明を自然に咀嚼させ、読みやすさに貢献しています。
時任さんの無表情で実直な振る舞いと、追い詰められた内面の対比が、人物像に奥行きを与えているのも印象的でした。
「残業なら慣れてます」という台詞に象徴されるように、会社員の現実感が物語全体を一本の芯で貫いています。