第26話推しに会え…
「アレン…!これ解いて!チカが…!」
「ユウ、それはできないよ。ごめん」
ガチャガチャと鎖が擦れる音はするが固く頑丈で解ける気配がない。
焦るユウにルーファスが近づいてきて、姉はきっと睨む。
「聖女様、落ち着いてください。すぐに処刑にはなりませんよ」
「処刑…!?ふざけないで、妹は何もしてない!自分が偽物かもどうかも知らないのに!」
「聖女様を騙ったのです。それに無知は罪ですから」
彼女の目の前まで来るとルーファスはユウの顎を掴んで目を合わせた。
嫌な予感がしたユウは首を動かして必死に動かして阻止しようとする。ルーファスは彼女に魔法をかけるとユウはがくんと脱力して眠りについた。
アレンはそんな彼女の鎖を解いてやるとそのまま抱き抱えた。
妹はとっくのとうにデイルによって部屋から出されていた。
「ルーファス…、ちょっとやりすぎじゃない?」
「城を脅かす存在を放ってはおけませんから。それにチカさんの体弱いこと、私に黙っていましたね。アレン、リオ」
「うっ」
「げえ」
「後で説教ですからね」
「「はい…」」
*
ここは新しい聖女様の部屋。先程の部屋は破壊してしまったので別の部屋を用意したのだ。
ユウをベッドに寝かせるとアレンは優しく彼女の頭を撫でた。
鎖で持っていた数冊の聖女様の日記を机に置く。既に彼が書庫から持ってきた本が山程積んであった。
「優しいお姉ちゃんなのにね…」
そう呟いて、アレンは使命を果たす為に彼女を見守った。
*
(また捕まってしもた…)
とどんよりと落ち込むチカは再び地下牢にいた。
デイルは彼女を地下牢に閉じ込めたらさっさといなくなってしまった。
好感度低い彼って結構冷たいんだよね〜なんて思うオタク。
顔を俯かせるとチカは少し半泣きになった。
(お姉ちゃん…心配してるやろうな…。私これからどうなっちゃうんだろ…)
膝を立てて小さく丸くなる。
(私、本当に聖女様じゃないんかな。どちらか一人だけ…、そしたら…ううん今はそんなこと考えてる暇はない。えーっと、ゲームだとこの後どうなるんだっけ)
顎に手を当ててうーんと考える。
この世界に召喚された主人公は聖女様になる気はなかった。だから攻略対象に反抗的な態度をとっていた。
共通ルートの選択肢の大半を間違えると共通バッドエンドになる。つまり個別ルートに行く前にゲームが終わる。
お姉ちゃんがルーファスの質問に了承しそうだったから邪魔をした。確かこれであっていたはず。
(ちょっと違うけど、ルーファスに本当に聖女様かと疑われて地下牢に入れられるところはゲームのシナリオ通りだし…)
この後はー…と考えていると通路の奥から足音が聞こえる。
待って、この後って…!と目を輝かせるオタク。
暗闇がら現れた黒髪黒目の青年にチカはばくんばくんと心臓が高鳴る。
こ、この人は…!!!
青年はチカを冷たく見下ろすと口を開いた。
「お前が聖女様の偽物か?」
「(きゃあああーー!!!推しーー!!!)いや、あの…」
彼はチカの推しのエディ。
あっああ、推しだ…!!と頬を赤くして見惚れるチカにエディは?と首を傾げる。
「どうした?」
「い、いえ、」
エディは座っているチカに目線を合わせるように膝を曲げる。
推しの顔が近くに…!とドキドキた緊張するチカを尻目に彼は言う。
「もう一度聞くが、お前が聖女様を騙ったとされる偽物か?」
「あ、い、いや…嘘ついたつもりは…ないです」
「そうか、なら冤罪か何かか?」
「…」
「答えられないか」
俯いてしまったチカは何も言えず、黙ってしまった。
そんな彼女にエディは表情を変えず淡々と続ける。
「まあいい。俺は死刑執行人。お前の処罰する義務がある」
「!い、いや…けほ、」
チカの身体は限界らしく、動悸がしてきて咳も出始めた。
顔が青いのは身体が弱いせいか、今の状況のせいか。
「ルーファスから粗方聞いた。体が弱いことは隠した方が良かったな」
「…、あ、」
エディの右手が近づいてくる。チカは金縛りにあったかのように逃げられない。
とん、とエディの右手の中指が彼女の額を軽く触れるとチカはチカは気を失ってその場に倒れた。
「…あ、最期に姉に伝える言葉を聞くのを忘れたな。まあいいか」
死神が持つ様な大きな鎌を持ってエディは彼女の首に突き立てた。
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