第25話怖い人②
「もし本当に嘘をついている自覚もない偽物だとしたら、罪のない者を断罪するべきではありません。手がかりはありませんが、元の世界に帰す手助けをしましょう」
「…どーも」
「しかし、どちらかが聖女様の可能性もありますのでこの世界について勉強して貰おうかと。勉強は得意ですか?」
「?そこそこに…」
「チカさんは?」
「普通かも…」
何の話がしたいのだろうか?と姉は眉を顰める。本当に世間話がしたいだけ?
今何時かわからないが、流石にそろそろ妹に薬を飲ませないと、と心配になる。
しかし、ルーファスはにこりと微笑んで話を続ける。
「運動は得意ですか?」
「そ、それなりに…」
「わ、私は苦手…」
「おや、その様には見えませんが」
「妹は体が弱いの。だから、あまり運動ができなくて」
そう姉が言うとはっとした妹が顔を上げる。
「お姉ちゃん!待って!いけない!!」
「?」
そう叫ぶ妹に姉はえ?と返事をしようとすれば「アレン」とルーファスは彼の名前を呼ぶ。
その瞬間、アレンのオレンジの菱形か並ぶ鎖が妹を捕える。
「きゃっ!」
「!チカ!」
ユウは思わず鎖を外そうとするが、固くて為すことができない。
突然の展開についていけずユウは青ざめてルーファスを見る。
彼はとても冷たい瞳でこちらを見据えていた。
「な、なんで…」
「申し訳ございません。こちらとしても偽物を置いておくわけにはいかないのです」
「ど、どういうこと?話が違う…暫く私たちを飼うんじゃ…」
「真偽がわかった以上、偽物を置いておく理由がありません。聖女様は自身の生命力で傷を癒す能力があります。裏を返せば生命力の低い聖女様はいないのです。今までも。体の弱いチカさんが聖女様である可能性な非常に低い。デイル、妹の方を地下牢へ」
「へいへい」
「ま、待って!チカを連れて行かないで!!」
ひょい、とデイルが軽々と妹を抱える。「お、お姉ちゃん…!」とチカが青ざめる。
「彼女は最初から怪しかったですからね。私の魔法を知っていたかのような行動をとっていましたし」
「!なっ…」
私の台詞を遮った時か…!あの時選択肢を間違えていた…!?とユウは動揺する。
今はそれどころじゃない。約束したんだ、一人にしないと。
「待って!私も…!わっ、!」
「ごめんね」
今度はアレンの鎖にユウが捕えられて、走り出そうとした彼女は思わず転びそうになるが、アレンに肩を掴まれて支えられる。
(どうすればいい…!!チカが連れて行かれる…!)
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