神様と11人の私(2)

2「二人目の潔癖症」


私は掃除が苦手だ。

というよりは、古いものに触るのが苦手だ。


部屋にあるものの多くは、何か理由があってここにたどり着いたものだ。

一瞬かわいいと思って手に入れたアイテムだったり、どうでもいいイベントで押し付けられたものだったり。

埃を被るほどひどくはないけど、ストレスになるくらいにはごちゃついている。


もしこの部屋に友達がきたらどう思う?なんて、親から言われたことを思い出す。

だれもこねーよ。


それなのに、時折自分の中の潔癖症が顔を出す。何もかも掃除して、きれいに整えたくなる。

トリガーは色々だが、今回はキリが家にくる夢を見たのだ。


夢ではキリの見た目は隣の席の暗めで真面目そうな男の子って感じだったけど、実際は大学生だしチャラついてるのかもしれない。

そもそも女の子かもしれない…って、それなら尚更綺麗にしないと。


鏡が目に入った。なんだ、そんなに悪くないじゃん。

ただ人形のセンスが悪すぎるし、変なにおいもする。片付けて洗濯して、シャワーを浴びよう。


メッセージが届く。

『ユウちゃん、この間はごめん』

しらない。

『でもさ』

ほらね。

『もう一回、ゆっくり話し合おう』

ブロック。


分かりもしないなら私に話しかけるな。

話を聴きもしないやつが、聴いてもらえると思うな。

私にも悪いところがあったと言わせるつもりだろう。それでも仲良くする自分に酔えたら気持ちいいだろう。

ふざけるな。私はあんた達の物語のモブじゃない。



何か理由があってここにたどり着いた言葉を切り捨てる私を、神様は見ている。


鏡越しに見たあの子がくれた人形は綺麗だし、汚れているとしたらきっと私なんだってことを、潔癖症な私は受け入れたくない。

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