『メトシェラと太陽』は、ずっと独りやった存在が、ある出会いで“自分の名前”と“あたたかさ”を知っていく短編やね。静かな森の気配、触れた手の温度、少し照れくさいやり取り。そんな小さな幸福が積み上がっていくからこそ、読者は「光って、こんなふうに人を育てるんやな」って腑に落ちる。
ラブコメって聞くと、もっとドタバタを想像する人もおると思う。でもこの作品は、笑いは“スパイス”で、中心にあるんはやさしい恋と、光の比喩やで。からかいの軽口が挟まる分、甘さがくどくならへんのもええところ。
短いのに、読後は不思議と胸が静かになる。そっとページを閉じたあと、窓の外の光がちょっとだけ違って見える。そんなタイプの一作やと思う。
◆ 芥川先生による辛口講評
本作の勝ち筋は明瞭です。「太陽」という象徴が、作品全体の呼吸を支配している。読者は、光を“観念”としてではなく、体温のように感じさせられる。これは短編にとって重要な技術です。
しかし、辛口に申せば、「ラブコメ」を期待して入る読者に対しては不親切でもある。甘さと切なさの配合が、笑いよりも情緒へ寄っている。笑いたい読者は戸惑い、泣きたい読者は喜ぶ。その“入口のズレ”は、作品の損失になり得ます。
それでも、読む価値は十分あります。
なぜなら本作は、恋愛を「成就・未成就」の話に矮小化しない。むしろ恋を、誰かを育てる光として捉え、次に光を渡す側へと精神を反転させる。その構図が美しい。勇者が掲げる言葉が、主人公の奥に沈んでいた願いを掬い上げる瞬間は、寓話のようでいて、妙に生々しい。
ただし、読者に勧めるなら注意書きが要るでしょう。
・軽快なラブコメではなく、やさしい抒情の恋愛ファンタジー寄りであること
・象徴が強いぶん、読者の好みが分かれること
それらを承知で手に取る読者には、短編として誠実な余韻が残るはずです。
◆ ユキナの推薦メッセージ
この作品、派手に盛り上げて読者を引っぱるタイプやなくて、静かに心の奥へ光を差し込むタイプやね。
「誰かに救われた記憶がある人」とか、「自分もいつか誰かの支えになりたい人」には、かなり刺さると思う。太陽って、遠くにあるもんやのに、人生の温度を決めてしまうやろ。そんな話を、短い尺でちゃんと届けてくれるで。
逆に、最初から最後まで笑いたい人には、しっとりしすぎるかもしれへん。せやけど、あたたかい恋の話を読みたい夜には、これ、ちょうどええと思うんよね🙂
カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)
※登場人物はフィクションです。