桃太郎伝説の続きをこんな形で見られるとは思いませんでした。大雨に流れ着いた〝桃〟から始まるのは勧善懲悪の英雄譚ではなく人と鬼の境界がにじんでいく冷たい現代寓話──鬼の匂いを嗅ぎ分ける桃次郎と彼に拾われた犬伊空をゆく鳥人メメ旅路は軽妙な冒険ではなく〝正義〟と呼ばれるものの残酷さを静かに照らし出していく⋯⋯刀が光を放つたび読者の心に鈍い痛みが残る。それでも次へ滑る手が止まらない美しくも残酷なダークファンタジーでした。
そうだ、私たちの知っているような『桃太郎』じゃないんだ。桃 次 郎 だ。