第20話 除草魔法の範囲化

「でも……あぁっ! ほら、あれを見て下さい!」


 マエルが事情を話そうとしたそのとき、黒い蔓草が視界に入った。

 蔓草はウネウネ動いて近くの麦に絡みつき、締め付け始める。


「駄目! やめて!」


 マエルはクルスの腕の中から抜け出して、蔓草に駆け寄ろうとするが、ふらついて転んだ。

 それでも必死で這い寄り、蔓草を掴む。


「スファネ(枯れろ)!」


 マエルは両手で掴んだ黒い蔓草を睨み、魔法を起動した。

 蔓草は瞬時に干からびて、ボロボロと崩れて散っていく。

 見ていたクルスが、珍しい魔法に目を丸くしている。

 その直後、周囲に次々と黒い蔓草が地面を突き破って現れた。


「手伝うよ!」


 クルスがマエルに駆け寄り、サッと抱き上げる。

 困惑するマエルを抱いたまま、彼はその場に座り込む。

 それから、マエルの片手をそっと掴み、地面に向けさせた。


「さっきの土魔法を、地面に向かって撃ってみて」

「は、はい」


 クルスが落ち着いた声で言い、マエルは戸惑いつつも魔法を発動させる。

 単体魔法が増幅されて、麦畑全体を覆う範囲魔法に変わった。

 キラキラした金色の粒子が、地面から湧き上がってくる。

 粒子は範囲内の全ての黒い蔓草を覆い、消し去った。


「……凄い……雑草がみんな消えた……」

「根こそぎ駆除したからもう大丈夫だよ」

「……良かった……」


 マエルは、蔓草の全滅を知ると力尽きたように気絶してしまった。

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