兄の一方的とも言える愛情が、少し過剰でありながらも真っ直ぐで、前半は微笑ましさすら感じさせます。その積み重ねがあるからこそ、突然訪れる喪失がとても重く、胸に残りました。
後半で視点が妹に切り替わり、兄の想いが形を変えて彼女を守る展開は静かで優しい余韻。派手な演出はなく、それでも確かにそこにいると感じさせる描写が印象的でした。
祝いという題名が、命そのものではなく、想いの継承を指していることに気づいたとき、この物語はとても温かいものになります。短い中で、愛情と喪失と救いをきれいに描き切った一編ですね。