16 善悪―守るための嘘―

俺は嘘つきだ。


それに加えてよく人を傷つけるクズだ。


そんな俺に誰も近づこうとしなかった。


けどある日俺に話しかけてきたやつがいた。


そいつは最近転校してきた女で俺の前の席だった。


『一緒にお弁当食べない?』


そう言われた、きっとこいつは俺の嫌な噂を知らないから言えるのだろう。


そんな不貞腐れたことを思いながら


『…勝手にすれば』


気づいたらそう言っていた。


なぜそう言ったのか自分でも分からなかった。


その日から毎日、こいつは俺に話しかけてきた。


『一緒に帰ろ!』とか『駅前のパフェ食べに行こ』とか…


俺じゃないやつと行けばいいのに…と思いながら渋々着いて行っていた。


こいつは素直で明るくて…俺とは本当に正反対だ。だからこそなんで俺といるのか本当に意味がわからなかった。


けど本当に不思議なのはこいつからの誘いを俺が断らないことだった。


転校してきてから1ヶ月が過ぎた。


俺は気分で校舎裏にいた。


そしたらクラスメイト数名がなにやら話をしていた。


そいつらは成績も優秀で人気者な集団だった。


『俺らのクラスにさ転校生来たじゃん?』


きっとあいつの話だ。


『あー!あの顔面可愛い子ね!』


『そそ!いつもあのひねくれ者といるからさ、なんかムカつくんだよな』


俺の事か…


『あーわかるこの前俺一緒に帰るの断られたわ』


『だよな!だからさ…』


その時聞きたくない言葉を聞いた。


『あいつに嘘告してさちょうど良くなったら奴隷にしねえ?w』


その瞬間


クラスメイトの悲鳴が学校に響き渡った。


目の前には血を流して尻もちを着いている

クラスメイトがいる。


俺はクラスメイトを殴っていた。


『っなんだよお前!』



『喋んなよ』


俺は殴り続けた 。


周りには人が集まり、先生を呼びに行く人、動画を回す人…など色んな人がいた 。



見に来るひとの中にあいつがいた。


なぜか…泣いていた。



少しして先生が止めに入った。



クラスメイトは先生からも生徒からも信頼の厚い奴、俺は不良でひねくれ者。


どちらの言うことを信用するなんて決まっているだろう。


『あいつが誰かの悪口を言っていて…注意したら急に殴ってきて…』


クラスメイトは言う。


否定しても…無駄だと思った。

だから無言でいた。


そしたら


『っ!違うと思います!彼は悪口なんて言わない!』


あいつが言うけどそんなの誰も信じない。



そう


俺は周りから見たら社会のゴミだ。


『違わねえよほんとだよ』


俺はそう言った。


ここで俺が救われてしまったらこいつが後々傷つくことになるから。


あいつは涙を流していた。


"悪がいなきゃ善は成り立たない"


それはいつしか聞いた言葉…


俺はいつまで経っても悪だ。


けどそんな悪役の俺でも守りたいものを…


彼女を守れただろうか。

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