第3話 楓との出会い

 まさに、運命の出会いだった。

 私は、小6の秋、電車で痴漢にあったのだ。

 まさか小学生で痴漢にあうとは思っていなかった私は、たぶん油断していたのだ。

 (怖い、怖い、助けて……)

 ついに耐えられなくなって、次の駅で降りようとすると、触られる感覚がなくなる。

 (え?)

 後ろを見ると、私より少し背の高い男の子が、痴漢魔の腕をつかんでいた。

 「車掌さん!

  この人、痴漢してました!」

 まるで、ヒーローみたいだった。

 あとから話を聞くと、彼は柔道を習っていたらしく、私と同じ小6なのらしい。

 そこから何回も何回も遊んで、連絡先も交換して……何となく、付き合った。

 中学受験のせいで会えないとわかったときは、絶望だった。

 何回も泣いたけど、それと同じくらい一つの約束を交わした。

 「じゃあ、またね。」「うん、頑張って。」

 また、中学校で会おうという約束を交わして、お互い違う方向へ歩き出したー……

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