第2話 まず手裏剣自体が今の世の中とは



 まず手裏剣自体が今の世の中とは在り方というか、多くの人から見た時のイメージ自体、お爺ちゃんの日常としてきたものとは違うのだろうけれど、一旦そこから始めましょうか。多分、そうなのよ。私も日常としてきたものが違うから、みんなと違うし、今お爺ちゃんにもその違いみたいなものに気付いて欲しいの。



 ねえ、お爺ちゃん。師範。お爺ちゃん師範。師範ちゃん。


 あ、すいません。失礼致しました。師範ちゃんはダメ。駄目ですか、駄目ですね。あ、ええ。お爺ちゃん師範、まではアリなんですね。はい。気を付けます。


 それで、ですね。

 まず手裏剣自体、今の世の中に合わないじゃないですか。

 無くても困らないとかそういうの以前に、今の時代、手裏剣って漫画や時代劇みたいなものでも結構デフォルメされてきているし。

 はっきり言って、もう手裏剣の時代じゃない訳ですよ。今、現代は。

 そして昔も。殆どの時代。ええと、お爺ちゃん、師範、ちゃんと聞いて下さいね。

 

 本当に覚えて居ないのですか。

 手裏剣に関して私が知っている事は、殆どが師範であるお爺ちゃんから習い覚えたことなのですから、お爺ちゃんが、師範が昔から教えて下さった事を私から一つずつゆっくり確認していきますね。


 はい。では宜しくお願い致します。

 折角ですから、稽古場の方に行って話しましょう。お爺ちゃん、稽古場に居る時の方が物忘れも少ない気がするってこの前言ってたし。言ってたよね。お爺ちゃん。本当に思い出してよ。言ったじゃない。

 

 言ったじゃないですか、師範。

 あ、やっぱりちょっと反応が違う。流石は師範。やっぱり稽古場に行きましょう。

 その方が話もし易そうですし、小っちゃい頃からお爺ちゃんとは稽古場で一緒に居た時間も長いから。その方がきっと落ち着いて話せるよ。

 早く、行こう。

 行きましょう、師範。


 二人で稽古場に行って、そして手裏剣の話をするの。手裏剣について、きちんと話して、聞かないと。

 私の手裏剣がみんなと違う、この感じをはっきりさせてしまわないと、私も普通の暮らしが怖くなってしまうから。

 だから、稽古場で手裏剣の話を。師範。話をしましょう。して下さい。



 あ、師範、くれぐれも、今私が言っている漫画や時代劇みたいなものに出て来る手裏剣は、世間一般で手裏剣と認識される範囲の手裏剣の方ですからね。

 分かりにくいですけどね、まずここから始めないと話にならない、と思っていまして。どうしてもそこはね。大切ですから。

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