私の手裏剣はみんなと違う
きのはん
第1話 私の手裏剣はみんなと違う
私の手裏剣は、みんなと違う。……らしい。
最近気付いた。
いや、以前から何かが違うと薄々気付いてはいたのだけれど。
今日、学校で友達に真顔で言われて。不安になったからみんなに聞いて。そう。普段喋らない男子の方にも。
でも、やっぱり違うって。だから。やっぱり。違うんだってば。私の手裏剣。
いや、だから、そもそもの話……
やっぱり、コレ、なんていうか根本的に違うよね?そういえば、小さな頃から家の外では他の人がこれを手裏剣、って呼ぶのは聞いたことが無かったような気もするし。
私だけ、というか私の家だけ違う気がするの。だって、そうでしょ、思い返すとその通りだもの。
外や学校で、急に友達がおかしな顔をして変な間が出来てしまった時とか。その内の多くが手裏剣に関するズレだったように思えて来るの。
そうだよ。きっとそうだって。これがみんなと違うもの。手裏剣なんだけど。
どうしてそれが分からないのよ。どうして分かってくれないの。
やっぱり。やっぱり違うじゃないですか、師範。ていうかお爺ちゃん。
こういうの、普通は手裏剣って呼ばないですよ。
手裏剣と認識する人の方が、極めて少数なのだと思います。
これって絶対、手裏剣じゃないでしょう。
ねえ、お爺ちゃん。あ、師範。いや、お爺ちゃん。
師範マウントで誤魔化すのはもうやめて下さいよ。お願いですから。
いや、物忘れが激しくなったふりもしないでよ。お爺ちゃん、物忘れは実際増えてるんだし、そこは師弟関係より前に、一緒に暮らしている家族として本当に心配になるからさ。
ね、ちゃんと話してよ。話そうよ。もし本当に忘れているのなら、出来るだけでも思い出してくれたら良いし、私の方も今から師範、お爺ちゃんには、慣れていない入門者さんにいつも私が説明しながら確認するみたいにじっくり話してみようと思うから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます