第4話 天使、空腹とトイレに悩む
気づいたら、
結構、時間が経っていた。
爆音は、
たまに遠くで鳴る。
大聖堂には人がいる。
でも、
ボクの周りだけ、
相変わらず空いている。
……正直、助かる。
人が近いの、苦手だし。
でも。
喉が渇いた。
お腹も、
なんか静かに訴えてくる。
あと、
トイレ。
これは普通にきつい。
でも言えない。
天使が
「ちょっと席外します」
とか言うの、
想像できない。
だから、
耐える。
立っていれば、
なんとかなる。
……と思ってたけど。
床との距離が、
安定しない。
ちょっと浮く。
戻ると、
天井が近い。
位置が、定まらない。
生活、向いてなさすぎ。
それに、
目が痛い。
カラコンもだし、
時間経過に弱い。
でも、
崩したくない。
これがないと、
外にいられない。
ちょっと笑いそうになる。
少し出掛けようとしただけだった。
それが今はこうだ。
用事とかはないし、
誰も心配もしてないと思う。
眠い。
座りたい。
横になりたい。
着替えたい。
全部、
言えない。
言ったら、
空気が壊れそうだから。
じゃあどうするか。
考える。
……儀式。
それっぽいやつ。
詳しい内容は、
誰も知らないやつ。
天使なら、
そういうのありそう。
頭の中で、
それっぽい言い訳を組み立てていたら。
前に出てきた人がいた。
偉そうな服。
落ち着いた声。
「……よろしいですか?」
「ここは、危険です」
それはそう。
「休息が必要でしょう」
……助かる。
「我が家に、
空いている部屋があります」
理由も、
ちゃんと用意してくれた。
周りも、
納得してる顔。
天使は、
休むもの。
そういう認識らしい。
ボクは、
小さく頷いた。
「……ありがとうございます」
声、
ちゃんと出た。
その瞬間、
なんとなく、
身体が軽くなる。
視線が集まったからだと思う。
肯定感、
みたいなやつ。
たぶん。
物理的な問題は、
何も解決してない。
お腹も、
トイレも、
眠さも。
でも。
立っていられる。
この服を着ている間は。
ボクは、
また一つ、
この世界に馴染んだ気がした。
嫌だけど。
仕方ない。
ここでは、
無理をするのも、
天使っぽいらしいから。
そのせいか、
頭の上に、
何か乗ってる気がした。
重くはない。
でも、確かに、
そこにある感じ。
気のせいだと、
思いたい。
鏡代わりのスマホ画面に映ったボクは、
最初から最後まで、
一切、崩れていなかった。
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