第三話「聖夜の癒し、ライルの過去と新たな情報」

ー龍太ー


部屋に運ばれ、ベッドに横たわる俺。 医者が呼ばれ、教会からも癒し手が派遣されたらしい。 グランベル家は一応名家だから、黒龍に襲われた長男が生きてるってだけで大騒ぎだ。


最初に来たのは医者。 老眼鏡をかけた初老の男が、俺の体を隅々まで診察する。

医者「……これは……信じられん。骨折の痕すら残っておらん。内臓損傷の兆候もゼロじゃ」

(そりゃそうだ。ロリ女神のチート癒しだからな)

俺はぼんやりとした目で医者を見上げ、 「……痛かった……黒い龍が……」

と弱々しく呟く。演技、完璧。


次に部屋に入ってきたのは――

白い修道服に身を包んだ若いシスター。 金色の髪をポニーテールにまとめ、胸元にエリス女神の聖印。 年齢は20歳前後か。清楚で優しそうな、典型的な癒し系教典さんだ。

(ふむ、名前は……リリアだった。ライルの記憶にあったな。昔、寄付金名目で教会から金巻き上げてた相手)

リリア修道女「ライル様、神聖魔法で傷を癒させていただきますね。女神エリスの御名において……済生!!」

彼女は両手を俺の胸に当て、光の粒子を放つ。


……数秒後。

リリア「……え?」

顔が青ざめる。

リリア「傷が……一切……ない? 骨も内臓も、皮膚の裂傷すら……完治してる?」

医者も目を丸くして、 医者「わしも今診たばかりじゃが……確かに……」

リリア(小声)「こ、これは……女神エリスの奇跡では……!?」


(おっと、いいね。エリスちゃん、勝手に信仰集めてるじゃん。でも済生には感謝してる!)

俺は困惑した顔を作り、 「……女神? ……誰ですか?」


リリア修道女は感極まった様子で俺の手を握り、

リリア「ライル様! あなたは女神エリスに選ばれたのです! きっとそうです!」

(疲れた仙人エロスに選ばれただけどな!しかも「地獄スキル」だよ!リリアちゃん^ ^)ブチッ


その後、執事のセバスティアンが入室を告げる。

セバス「伯爵様がお見えです」


――父親か。

ようやく本番だ。

伯爵(父親)は50代半ば、厳つい顔の貴族らしい男。 俺を見る目は……喜びじゃなく、面倒くさそう。

伯爵「生きていたか。……記憶が飛んでいるそうだな」


俺「あなたは……?」

伯爵「俺がお前の父親だ。ライル・フォン・グランベル。お前は私の長男だ」

冷たい口調。愛情ゼロ。

伯爵「ライルよ!ギルドで噂になっておるぞ。」


俺(弱々しく)「……ギルド? ……何が……?」


伯爵「ふん。お前を地龍退治に雇った傭兵団が、街で豪遊しながら騒いでおる。

『ライルは黒龍に喰われて死んだ、地龍の報酬をよこせ』とな」


(おっと、情報キター!! 場所はギルドの大酒場か。傭兵リーダーの事だよな!)

俺は弱々しく首を振る。 「……傭兵? ……黒龍? 思い出せない……でも、怖い……」

伯爵「ふん。どうせお前らしい失敗だ。記憶が戻らぬなら、それでいい。静かにしておれ」

と吐き捨てて部屋を出ていく。


(静かに? いやいや、今夜クリスマスプレゼントを届けてやるよ)

一人になった部屋で、俺はベッドから起き上がる。


窓から見える街の灯り。

クリスマスの飾り付けでキラキラしてる。カップルが笑いながら歩いてるな……。

(みんな幸せそうで、いいね。プレゼント用意しなきゃ)

まずはあのリーダーから。

足の腱切られた痛み記憶、100メートル吹き飛ばされた後に転生した時の痛み……、

内臓引きずられるような痛み――

全部、ポイント10倍還元で返してやる


俺はそっと口角を上げた。

……ニヤリ。

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