限界突破の超越者〜β版で最強だった僕は運営に声を掛けられ裏ボスを務めることになりました〜

藍川蒼霧

春休み編

第1話:「Magical fantasy」

「Magical Fantasy」…それはMSR株式会社より作られたVRMMOである。MRS株式会社が出した過去にRPGを中心としたゲームはどれも世界的に有名である。そんな会社が最近話題となっているVRMMOを新作として発表した。


それが、「Magical Fantasy」である。


――――――――――――――――――――――――

「Magical Fantasy?」

「うん、お兄ちゃんならこういうの好きだと思って。お兄ちゃん卒業してから暇でしょ?」


僕はこの春中学校を卒業した。高校入学への課題もすでに終わらせていて暇を持て余していた。そんな時の休日に自室でスマホを見ていたら妹が話しかけてきた。


「まぁ、暇だけど…。」

「あ〜、お兄ちゃんってゲームコミュ障だったね。…最悪一人でもやってもいいから。」


僕は、ゲームコミュ障だった。厳密には少し違うのだが、妹にはそう思われてしまっている。というのも、前に妹とその友達と一緒にゲームをしていたときにまともに会話することができなかったからだ。前に一度説明した時も信じてくれなくて結局説明は諦めた。


「わかったよ。でも、β版の募集時期もう過ぎてるけど?」

「甘いね、お兄ちゃん。私はお兄ちゃんのことなら何でもわかるの。だから、暇すると思って事前に応募しといたよ。もちろん、お兄ちゃんのアカウントで。」

「おい、勝手に人のスマホ触ったな。あとで説教な。」


僕は妹を睨んだ。嫌そうな顔をしていたがすぐに何か考え始めた。そして、何か思いついのかニヤリと笑う。


「でも、それは画面のロックをしていない人が悪いと思うよ。お兄ちゃんもそう思うでしょ?ねぇ、誰のことかな〜?」

「…」

「まぁ、私は気にしないけど…。うっかり落としてしまったら危ないから画面のロックはしておいた方がいいよ。」

「はい、そうしときます。」


いつの間にか僕が説教されていた。まぁ、僕が悪いのだがなんか納得できない。そうモヤモヤしていると、気持ちを切り替えるためか手を2回叩いた。


「それで、無事当選したのでお兄ちゃんにこれあげるね。じゃあ感想聞かせてね。」


そう言って妹は封筒を渡して部屋から出て行った。その封筒は、MSR株式会社からの物であり宛先は僕、新垣優あらがきゆうであった。開けてみると、Magical Fantasyのソフトが入っていた。妹に謀られたわけだが、少しやってみようと思った。

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