第2話 飯を食う
フリーターのような生き方をしている。
普段は何もしていないけれど、金がなくなれば金が貯まるまで働いて、金が貯まったら働くのをやめる。
そういう生き方していると、「今日はやることがないな」という日が時折やってくるので、無理矢理にでもやる事を見つける。
今日は楽器屋に来ていた。
なにか趣味を持とうと思ったからだ。
浜田さんから教えてもらった愛おしい楽器屋が駅前の商店会にあるらしい。そこに行ってみる。
「どっひゃー。弦楽器の群れだ」
俺は驚いた。弦楽器の群れが視界の中を覆い尽くすので、思わずハエ叩きでぶっ叩いてしまいそうになった。
錯乱する頭をよそに、俺はギターを購入した。
かっちょいいから赤いやつ。
ぽろんぽろんと爪弾きながら田舎の民に自慢する。
わが
ポロロン! ポロロン!
俺は風情のないギター奏者に対して、誹謗中傷をしていく。「ギタリストはすぐチンチンでものを考えるのをやめろ音頭」いきます。
そうして粋がりながら喫茶に入ると、昨日誘拐されてた少年を発見。少年? 少女? どっちなのだろう?
わかんないけどクッソかわいいっすね。
付き合ってくんねぇかな。男でもいいから。
「あっ、昨日の……」
「偶然極まりない。君あのあと大丈夫だったか」
「まぁ、とりあえずは……」
「バイトかい。今日くらい休めばいいのに」
「働かないと生きていけないので……」
「そうか。……頑張ってるんだな。えらいえらい」
俺は腹が減っていたのでナポリタンを六皿食った。
「あなたの方は……?」
「夜中酒飲んでたらこぼした」
「そういうことじゃなくて……」
「ああ、あの事件に関してか。何もないよ。警察に『またお前か』って言われたくらいだ」
「また?」
「たまにああいう事件に首を突っ込んでる。犯人のグループもなんとなく当たりがついているくらいには」
「なんなんですあいつら」
「カルトの皮を被った悪の組織だよ。関わらないほうがいい」
まだ食えそうだったのでビッグカツカレーを頼む。
調理過程を見てみたが、どんぶり七杯分の米に辛そうな色をしたドス黒いルーをかけた頭のおかしいライスカレーに、分厚いトンカツが「切れ」ではなく、「二枚」。
「食えんですか」
「俺はとても食うタイプ」
「そっすか……」
とりあえずこれ以上食えば金がなくなってしまうからここらで終いにしておく。会計を済ませて店を出る。
「ギター忘れちゃった」
ので、店に戻ろうとすると、すぐ後ろでトラック同時がぶつかった。
一瞬驚いてから、すぐに運転席に向かった。
すると、幸いどちらも生きていたので救い出して、腰のポーチから応急処置に必要な道具を出して、処置。
到着した警官に事情を説明する。
「お前いつも……」
「茶化すなよ。こう見えて必死に生きてるんだ」
俺は呪われてるのかなぁ。
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