第22話 劉虞

 界橋かいきょうにて大勝を得た袁紹えんしょう軍は、勢いを駆って公孫瓚こうそんさんの本拠であるゆう州を攻めようとした。

 崔巨業さいきょぎょう涿たく郡の故安こあん県を攻めさせたが、これが界橋のときとは逆に大敗を喫することになる。

 公孫瓚は再び南下を開始してせい州まで到達するなど、徐々に勢力を回復させたため、界橋での一戦は大勝とはいえども、公孫瓚に対する致命傷とはならなかった。

 この辺りから公孫瓚は、劉虞りゅうぐとの対立を激化させる。

 武力の行使に反対して兵糧ひょうろうを送らなかった劉虞と、それに対する報復として民を脅かした公孫瓚。

 劉虞は公孫瓚の動きに激怒して、討伐をいさめていた魏攸ぎゆうが没すると同時に、異民族などを糾合きゅうごうして大軍勢を向かわせた。

 ところが、劉虞は軍を動かす能力には長けていなかった。

 諫言かんげんした程緒ていしょを斬首して混乱を呼んだほか、公孫瓚が民を盾にして城に籠ると

──人民に罪なし、公孫こうそん伯珪はくけいのみを斬る

と公孫瓚のみを狙うように指示したことで、城を攻めあぐねる状況も自ら作ったのである。

 劉虞の従事じゅうじであった公孫紀こうそんきが、同族の公孫瓚に計画を漏らしていたこともあって、手玉に取られる形となった劉虞は、火攻めに遭って捕らえられたのち

「皇帝に推戴すいたいまでされていたではないか。雨乞あまごいでもして見せよ」

という無理難題を言い渡され、それを成せなかったが為に処刑された。

 人望のあった劉虞およびその配下を虐殺したことは、先に軍を動かしたのは劉虞であったとはいえ、公孫瓚の名声に大きな傷をつけた。

 さらに、大きな怨恨えんこんを残したことによる影響は、自身が滅ぶときに現れてくることとなる。

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