第4話 スマートフォンに残された動画1

(根元が黒くなりはじめた銀髪の女性が、笑顔で手を振っている。その背後には、頭部にウェアラブルカメラを装着しようとしている男性がいる。彼らの後ろには、壊れた楽器が映りこんでいる)


くろちゃん、もう撮ってる感じ? うぇーい」

「うん。ジミーも写ってるよ」

「なぁ陽菜ひな、これマジでつけんの? オレ嫌なんだけど」

「動画バスらせたいって言ったのジミーじゃん。我慢しろし。黒ちゃんもスマホで撮ってくれてんだし、おめぇもがんばれし」

「あー、あたしたちも撮ってよー」


(画面外から、茶髪の女性と黒髪の女性が割り込んでくる)


「わ、わたしはいいわよ。恥ずかしいから……」

「もーう、サニーちゃんかわいーい。あおいお姉さんと一緒に映ろー?」

「一浪ババアがなんか言ってる」

「ジミーちゃん、うるさーい」

「てかよ、サニー、こんなとこ来て大丈夫なのか? オレらは、元から夜出歩いてるから平気だけどよ」

「えぇ、あの『ドラム』の話、気になったから……でも、勝手に入っていいのかしら」

「多分ダメだよねー。だから、みんな小声で話そー」

「もう! さっさと始めるよ! 天気ヤバいんだから……はい、実はうちら、事故物件に来ちゃってます! メンバーは、5人です! あ、カメラマン込みね」


(カメラが引きの画になり、4人の男女が手を振る。床には、シミだらけの楽譜が散らばっていた)


「この店、ずっと前に店長が殺されちゃって、そんときから店が放置されてるんだって。ヤバいじゃん」

「そんなヤバーいとこだけど、なんとこのお店には、『願いが叶うドラム』があるみたいなんですー」


(カメラが寄り、銀髪の女性と茶髪の女性が大きく映し出される)


「そうそう、『願いが叶うドラム』に座って、心の中で3回願いを言うと、ホントに叶っちゃうらしいです!」

「と、いうわけでー、今から突撃しまーす」


(階段を上り、2階の住居部分へと移動する。玄関扉には鍵がかかっていない。埃の積もった室内に、一行は土足で侵入する。部屋は暗く、人はぼんやりとしか映っていない)


「お、結構広いじゃねぇか」

「お邪魔します……あら、なにか……口笛の音かしら?」

「マジ? いや、オレには聞こえねぇけど」

「ねー、警察とか来たときにすぐ捕まんないように、鍵かけとくー?」

「めっちゃいいじゃん、そうしよ」


(茶髪の女性は玄関扉をロックした。錆びたドアチェーンもかける)

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