タイトル未回収昔話シリーズ

四百四十五郎

さるかに合戦

「どうしよう、僕にはあの実が取れないや」


 カニの頭上には、赤い柿がいくつもみのっていた。




 話は8年前にさかのぼる。


 当時、カニは人間相手に外科医として活動していた。


 そんなある日、かつて手術で助けた人間から差し入れとしておむすびを貰った。


 しかし、当時のカニは外科手術で忙しい日々を送っていたため、ごはんに比べて急いで食べても喉に詰まる危険性が低いパンの方が好きであった。


 そのため、同僚のサルにおにぎりを全て譲った。



 さて、同僚のサルについてだが、サルはカニに強く嫉妬していた。


 自分とは違い現役で医大に入り、国家資格も一発で取得、おまけに手術の質は最高で特に切除手術は神業かみわざの領域。


 そんなカニに、サルは強い羨望と憎悪を向けていた。


 そんな彼から物を譲られてしまったことで、サルの嫉妬はついに殺意に変わった。


 サルは計画した。


 おにぎりのお礼と称してカキのタネを渡し、8年後に実が成ったら収穫するフリをしてカニに未熟な柿の実をぶつけて殺してやろうと。



「この種を植えたら8年後に実が成る。果実はキミでは到底取れない高所に実るから、その時は私を読んでくれ。ちゃんと1つ残らず取ってあげよう」


 後日、サルはそう言って、カニにカキの種を渡した。


 そして、計画は8年の歳月を経てついに終わろうとしていた。


 なお、カニはその間に妊娠出産を行い、子供がいた。


 


「さてと……誰に頼んでカキを取って貰おうか……」


 カニは悩んだ。


 そして、天才外科医特有の賢い頭脳で高いところにあるものを採取できそうな友人の最適解を導きだし、彼らを呼んだ。





 数日後、収穫作業が始まった。




 クリが収穫しても良い熟れた柿を選別して教え、ハチが果実と枝の間を何度も刺し、果実を木から切り離し、ウスがそれをつぶれないようジャンプして受け取った。



 こうして、柿は無事カニたちの手元にわたり、カニの旦那や子供を含めたみんなで仲良く食べたのち、そのま解散したのであった。


 


 消化不良感がすごいけど……完!

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