8話 恋の方程式の謎解き

放課後、教室は薄暗く、夕日の光が斜めに差し込む。


智鶴は机に向かい、私をちらりと見る。

私は微笑みを返す。

——この微笑み、彼にはどう映るのだろう。


心の中で方程式を解くように、昨日の彼の行動を思い出す。

笑顔の大きさ、目線の長さ、距離感、声のトーン、身振り、秘密行動…。

すべてが微妙に絡み合い、恋愛指数を作り出す。


「…なるほど」


私は小さくつぶやく。

智鶴の反応から、彼がどの項目を意識したのかを推理する。

目線か、笑顔か、距離感か。

——彼の計算を解くのは、謎解きのようで面白い。


廊下を歩きながら、私も微妙に心理戦を仕掛ける。

少し距離を変え、目線をずらし、声のトーンを調整する。

智鶴はそれに反応して、眉を少し動かす。

——この瞬間、彼の心が少し揺れたのがわかる。


階段で、私はふと立ち止まる。

彼も足を止める。距離感、視線、沈黙。

——この間が、まるで方程式の余白みたいだ。

私が先に動くか、彼が先か。

どちらも計算しながら、本心を隠す。


教室に戻ると、机の上にプリントが置かれている。

智鶴が微妙にこちらを見ながら書き込んでいる。

その視線の意味を解くのが、今日の謎。


——この微妙な傾き、ペンの置き方、目線の揺れ。

すべてが、私に伝えようとするメッセージだ。


私は微笑んだまま、彼の目を見つめる。

心の中で推理する。

——笑顔の方程式?距離感の式?それとも秘密行動のトリック?


彼がふと立ち上がり、私の方へ歩いてくる。

その歩幅、姿勢、目線…すべてが情報になる。

——解析するのが楽しい。


廊下を歩きながら、私は小声でつぶやく。

「…解けるかな」


智鶴も同じように微笑む。

互いに心理戦を繰り広げながら、恋愛指数を操作する。

——謎解きの答えは、まだ誰も知らない。


夕日が差し込む教室で、私たちは静かに立ち止まる。

お互いの距離、目線、声のトーン、身振り。

すべてを読み合うこの時間が、恋の方程式そのものだ。


今日もまた、私は彼の心を解きながら、自分の心も少しずつさらけ出す。

——謎解きは続く。

でも、それが恋の面白さであり、ハラハラする瞬間でもある。

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