第3話 ヒーロー登場
森の奥、魔物の咆哮が響き渡る中、ミリーは小石を踏みしめながら必死に後退していた。
枝が顔に当たり、汗と泥で視界がわずかに揺れる。
「誰か…助けて…!」
その声に、森の静けさの中から、軽やかな足音が響いた。
「…危険信号、見逃せない」
カイルは茂みの陰から姿を現す。
長いマントが風に揺れ、剣を握る手は冷静そのもの。
森の木漏れ日に、彼の鋭い眼光が反射する。
ミリーは驚きの表情で立ち止まる。
「え…誰…?」
スマホ越しの視聴者もコメント欄で大騒ぎだ。
魔物はカイルに気づき、爪を振りかざして飛びかかる。
カイルは軽く身をかがめ、剣を抜かずとも一瞬で間合いを測る。
「大丈夫か?」
カイルの声は低く響き、森全体に沈み込むようだった。
その声に、魔物はわずかに動きを止める。
ミリーは驚きのまま、画面越しにその瞬間を見つめる。
カイルはまだ能力を出すつもりはなかった。
しかし魔物の鋭い爪が彼に迫る。
「…仕方ない」
彼の目の奥に、ほんのわずかに光が宿る。
手のひらの下で魔力が揺らぎ、風が巻き起こる。
森の枝葉がざわめき、落ち葉が舞い上がる。
その瞬間、ミリーは無意識に息をのむ。
「…なに、あれ…」
視聴者もコメントで騒然。「なんか来た!」「Sランク…?」「助けてー!」
その視線の先に立つのは、茂みから颯爽と現れた謎の青年??ヒーローの予感が、森に漂った。
カイルはわずかに前傾し、魔物の動きを冷静に観察する。
「…まだ本気は出さない」
彼の心には、力を隠す緊張と、戦う覚悟が同時に渦巻いていた。
森の中の時間が、ほんの一瞬だけ止まったように感じられる。
平穏な日常が崩れ、ここから新たな冒険が動き出す、その前触れだった。
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