勝負に勝って試合に負ける 第2話

★2 メンバーを改めて紹介

 私たちのバンドは先程書いたような通りで、身体的にも精神的に荒れていた。ただ唯一、ドラムのやつだけがまともな身体と精神を保っていた。たぶん。

 たぶんというのは、聞いてみたことがないから分からないのだ。

 ここでそうだな、わかりやすいようにメンバーにちゃんと名前を付けて紹介をしてみよう。バンドでたまにやるよね。……というか、逆にわかりづらくなるかな?


 まあ、やってみることにする。


 まずはベースのぉ〜……(ドラムロール)……とかやっていると読みづらいかと思うので、やらないです。


 1, ベース・コーラスは腐ったタカシ!

 17歳、特徴はヘタレ。とにかく何もかもヘタレ。どうしようもないヘタレだ。


 2, 続いてドラムスはコウタ!

 22歳、特徴はくまのプーさんに似ているところ、高校生の時に吹奏楽部のドラムスを担当していた彼を私が無理やりメンバーにした。吹奏楽部出身なだけあって、ドラムロールがやたらと上手い。


 3, ギター・コーラス、私、リツアキ!

 22歳、特徴はその極めて荒れ果てた精神とは逆に異常な程に鍛え上げられた身体。実のところ剣道部出身の武闘派。つまり荒れた武闘派。危ないヤツだ!肩だとかを出すと女子に大変喜ばれる。


 4, そしてギター・ボーカルはヨウヘイ!

 17歳、特徴はなんと言っても声、声質。音程が良い悪いは関係ない。プロであれば音程は上手いに決まっている。声、声質は作るということが出来ない、生まれ持ってのものだ。ギターは全く上手くない。それどころかよく弾かないといけないところを弾かない。


 以上の四名で構成されている。


 ヨウヘイとタカシの年齢が一際若いということがわかるだろう。私の5歳年下だ。社会人と大学生と高校生二人とがバンドを組んでいるのだ。全員専門学校生の同級生だとかそういうキラキラしたものではない。えっ、それのどこがキラキラしているかって?

 まぁ確かに。キラキラはしていないよね。ただ当時に思いを馳せるととにかくあの時だけにしか活動していなかった音楽専門学校生のお金持ち具合を思い出すと気持ち悪くなってくる。どれだけその音楽専門学校を嫌っているかっていうと……って、これはもうわかっていることでしょう。お金持ち、その一点に尽きる。お金持ちだからと言って、演奏が下手だとかそんなことにはならない。むしろ高い機材を購入できる点で演奏は下手だとしてもカバー出来るという面もある。うちは金持ちかって?

 当然ながら金持ちじゃない。当時その頃、両親はバブルの頃に購入した家のローンを支払うことが難しくなり、様々な銀行へ奔走していた。その借金の上に2000万円もの借金が父の身にドンと乗っかってしまった。

 2000万円も何をしたのか。ラスベガスで豪遊してバカラ三昧していた……とか、そういったことであればまだいい。どこか笑える。しかし残念なことにそんなことを父はしない。パチンコ・パチスロすら全くしない。

 父が働いていた会社の社長の連帯保証人となっていたためだ。その会社が倒産してから5年以上も過ぎてすっかりそんなことも忘れていた頃にそのような金額が降ってきたのだ。

 そして銀行を変えては借り換えるということを繰り返していき……最後には支払える見込みが完全になくなってしまったのだが、それはこの当時の頃より10年くらい後の話だ。

 完全に話がれてしまったが、彼らとどういういきさつでバンドを組むことになったのか。その理由を説明しようと思う。

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