想心の引き金

Observer_365

1_起源編

序章

 わたしの足もとには、ついさっきまで息をしていたはずの誰かの指先が触れている。

 見慣れた路地裏に住まう民も、いつも店に来ては愚痴をこぼしていた女も、名も知らぬ少年も──今はみんな、同じ顔で空を仰いでいた。何も映さなくなった、濁った瞳で。

 ここに横たわる全員が自ら命を絶ったのだと悟り、わたしは深く後悔した。

 そして、思い出す。あの夜、占いの館を訪れた青年──トレーソン・イニーツィオと出会った瞬間に始まった、そのすべてを。

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