推しの幸せと私の涙
⭐︎Ryua⭐︎
第1話
優佳は、特別変わらない毎日を過ごしていた。仕事に追われる日々の中で、友達との少ない時間を楽しむことが、彼女の日常の中で数少ない癒しのひとときだった。そんなある日、カフェで友達とおしゃべりをしていると、ふとこんな話題が出てきた。
「最近、翔太っていうアイドル、すごくない?」
「翔太?」優佳は一瞬、聞き覚えのない名前に首をかしげた。
「うん、最近ドラマにも出てるし、歌も上手いし、何より顔がめちゃくちゃかっこいい!一度見たら絶対にハマるよ。」友達は目を輝かせながら、翔太について語り続けた。その情熱に少し引き寄せられるように、優佳は「一度見てみようかな」と軽い気持ちでその番組を観ることに決めた。
その夜、優佳はテレビの前に座り、翔太の出演する音楽番組を流した。最初はただの好奇心からだったが、番組が始まった瞬間、優佳はその美しい映像に釘付けになった。翔太がステージに立つと、場の空気が一気に変わり、彼の一挙一動に心が震えるのを感じた。
彼の顔立ちは完璧に整っており、どこか儚げでありながらも、強い意志を感じさせる目をしていた。特に歌声が優佳を魅了した。透き通るような声が、彼の存在をより一層特別に感じさせた。その瞬間、優佳は「あ、これが推しってことか」と理解した。
番組を終えた後、優佳は思わずネットで翔太について調べ始めた。彼の過去の活動、出演しているドラマや映画、彼がこれまでどれだけ多くの人に愛されてきたのか。それを知るごとに、翔太への感情は確実に深まっていった。
翌日、再びテレビで翔太を見るたびに、優佳は心の中で「翔太、かっこいい」と思っていた。その頃から、優佳の生活の中で翔太は不可欠な存在となり、彼の出演する番組は毎週欠かさずチェックするようになった。
だが、それと同時に優佳は、少し不安を抱えていた。翔太のような完璧な人が、自分と同じようにファンを大切にしてくれるのだろうか? いつか、翔太が結婚する日が来たら、どんな気持ちになるんだろうと想像しては、その度に胸が痛んだ。
それでも優佳は、自分の感情に素直でいようと決めた。「推しは推し、ただ応援し続けるだけだ。」そう心の中で自分を納得させ、翔太への思いを深めていった。
その後、優佳はファンイベントにも参加してみた。初めてのファンミーティングでは緊張が止まらなかったが、翔太がステージに登場した瞬間、場の空気が一変した。彼の優しい笑顔に、会場全体が包まれる。翔太の笑顔を見ると、優佳は心の中で「私は幸せだ」と感じていた。彼の存在が、自分にとってどれほど大きなものになったのかを改めて実感した。
「ありがとう。」翔太が優佳の目を見て言ったその言葉が、優佳の胸に深く刻まれた。そこから彼女は、ますます翔太のことを応援する理由を強く感じるようになった。推しがどれだけ忙しくても、どれだけ多くの人に囲まれても、彼のことを見守り続けようと思った。
その日から、優佳の生活は変わった。翔太の活動を追いかけることが、彼女の毎日の中で欠かせない楽しみとなった。それが、少しずつ彼女の心の中で強い「応援したい」という気持ちへと変わり、確信へと変わっていった。
翔太が輝く場所に立ち続けている限り、優佳もまたその光を追い続けるつもりだった。そして、その気持ちはやがて、自分の中でどんどん強くなっていった。
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