第2話

「未希さんは愛理さんとどういった関係なのか、聞いてもいいですか?」

「...幼馴染で、"元"親友、かな。」

「"元"ですか。だから"もう一度友達に"だったわけですね。」

「うん、喧嘩別れしちゃった。もう会えないと思ってたんだ。」


私は中学で転校した愛理がどこに行ったかすら知らなかったのだから当然だろう。


「それがまさか、またおんなじ学校に通うことになるなんて思わなかった。」


運命だと思った。

愛理の転校を知った時からずっと、私は愛理に謝りたかった。

そしてもう一度友達に、親友に戻りたかった。


「でも、愛理は...私とは考えが違ったみたい。」


私は心のどこかで、もう一度愛理に会えれば無条件で元の関係に戻れると思っていた。


「もう4年も経つのにこんな風に考えてた私の方が普通じゃないし...うん!きっとおかしいのは私。」


よく考えてみれば、4年もの間同じ人物の事でここまで思い悩んでいるなど、常軌を逸している。

例え恋人であったとしても重すぎるぐらいだろう。

どう考えても普通じゃない。

私がおかしいのだ。


「...きっと、そうじゃないですよ。」

「えっ?」


美穂は優しい声音で私の考えを否定した。

俯いていた私は、その発言を受けて反射的に顔を上げ、美穂の方を向いた。


「きっと愛理さんも、未希さんと同じ気持ちだったと思います。」

「?...でも愛理は今朝ああ言って...私と同じ気持ちってどういう事?」


私は美穂の言葉の意味が分からず、聞き返す。


「...ごめんなさい。私が勝手に伝えるべきじゃないですね。」

「っ!」


美穂は愛理に配慮して言葉を切った。

本当はまだ聞きたかったが、直前の彼女の言葉を受けた以上、私にはどうすることもできなかった。


「私は...愛理さんともう一度直接お話したほうがいいと思います。」

「もう一度、愛理と?」

「はい。今日の放課後時間はありますか?よろしければ、愛理さんには私から伝えておきます。」

「...分かった、お願い。」


先程の美穂の言葉の意味と話の続きを知るために、私は美穂の提案に同意した。





放課後、私達は生徒玄関に集まっていた。

私と美穂、それからもう1人。


「私は江沢 玲奈よ、玲奈でいいわ。よろしくね。」

「よろしく。私は...まぁ今朝みんなの前で自己紹介したばっかりだからいっか。私も未希でいいよ。」


玲奈は愛理の友達で、美穂とは幼馴染らしい。

ちなみに愛理は既に目的地に着いていて待っているらしい。


「着きました。」

「ホントに近いんだね。」

「良いわよね、通学が楽で。私ももう少し近ければ朝ゆっくりできるのに。」

「玲奈が私と一緒にここに住めば叶いますよ?」

「絶対嫌。」


集まる場所は学校から近いという理由で美穂の家になった。

どのぐらい近いかと言えば、誇張抜きに先程の玲奈との自己紹介を始めてから終わるまでの間に着いてしまうほどだ。


「それでは遠慮せず上がってください。」


美穂の自室は二階にあり、扉には木製のプレートがぶら下がっており『美穂の部屋』と書かれている。

近くにある別の扉にも同様にプレートがぶら下がっており、こちらは裏返されていた。


「未希さん、どうかしました?」

「あっ!ごめんごめん初めて来たからつい見回しちゃって。」


美穂に声を掛けられそちらをみると、自室の扉を開けて私が入るのを待っていた。

私は慌てて扉をくぐる。

部屋の中心には円形の可愛らしいテーブルが置かれている。


「ほら、未希も座んなさい。」


先に来ていた愛理はすでに座っており、玲奈に促され私も彼女のとなりに腰を下ろした。

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学校が家に近いのは...登校が楽でも嫌かもしれないですね...

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