別れ道

憑弥山イタク

別れ道

 煙草は貴方に似合わない

 貴方は未成年コドモであるが故


 お酒は貴方に似合わない

 貴方は呑めない年齢としが故


 けれども貴方は煙吐き

 家中ものかげ隠れて酒を呑む


 私は貴方の名も知れぬ

 初めてうた今日が故


 貴方は私の名も知れぬ

 二学年ふたつも歳下たる私


 友をば侍らせ豪語する

 煙草を初めて成績落ちた


 友をば侍らせ笑い

 学舎まなびや帰りの通学路


 偶然私は貴方の後

 同じ帰路をば歩くが故に


 真面目に生きる私は独り

 逃げたい気持ちに苛まれ


 眼前迫りし別れ道

 私は右へと踏み出した


 左へ向かうば最短乍ら

 貴方の影をば踏むばかり


 漸く至った別れ道

 私は静かに安堵する


 けれども貴方は私を見つめ

 名も知れぬのにただ告げる


 俺達みたいな屑には成るな

 優しい声で、ただ告げた


 若者案じて己を示す

 誠実のみでは飽き足らず


 大人は大抵嘘を

 子供を騙して嘲りて


 斯く云う私も穢れた大人

 子供の時分に顔向けできぬ


 理想の大人は単なる虚像

 見つける事など出来やしない


 子供へ示す誇り無き

 斯く云う私も穢れた大人


 真面目に生きたつもりとて

 行き着く果てには希望無く


 度々思うは過ぎし日の

 二学年ふたつも上の貴方です


 己を悪とて示しつつ

 貴方の教えは確かなる


 されども貴方は私を案じ

 私へ声掛け見送った


 あの日の貴方は理想の大人

 罪さえ背負えど理想の大人


 未成年こどもの貴方に劣りけり

 気付けば滲むは目の雫


 あの時、左を選んでいれば

 貴方の優しさ知れただろうか


 あの時、左を選んでいれば

 私は悔いなく生きただろうか


 未だ呪うは別れ道

 悔いても変わらぬ己の姿


 過去を鑑み酷く憐れむ

 どちらが子供か分からずに

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別れ道 憑弥山イタク @Itaku_Tsukimiyama

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