第5話

A社にはあきのさんという20年以上勤務している40代の女性社員がいました。


義父が肺炎で入院をした次の日。あきのさん以外のA社の従業員が逃げる様に突然会社を辞めてしまいました。


仕方なく義父が入院の間、

主人と私がA社の仕事も朝から夜まで掛け持ちして手伝いをしました。


しかし、

通常の勤務時間は9時〜18時が定時でしたが、

このあきのという女性は自称デザイナーを名乗り、

どんなに仕事が忙しくても、朝10時半過ぎに出社をしていました。


働きながら様子を伺うと、社内では疑問に感じることばかりが起こっていました。


A社の建物は基本的にS社が賃貸をし、A社には1区間を間貸しをしている状態でした。


なので、A社の建物内にはS社のパート従業員や社員も働いていたのですが、


あきのはA社と同じ建物内にいるS社のパート従業員を当たり前の様にアゴで使い、


自分が10時半過ぎに遅刻して会社へ着くタイミングで毎日淹れたてのコーヒーを作る様にS社の従業員に指示をしていました。


コーヒーを受け取ると自分のために特別に作られた個室へ入り、そのまま昼まで部屋に篭りました。


昼休憩は12時から13時まででしたが、毎日休憩時間の10分前にはランチへ行くと言い残し颯爽と出て行き、


そのまま会社に何の連絡も無く2時間ほど帰らず、


やっと戻って来たかと思えば

「私は今時短勤務だから」と言い残して15時過ぎには退社をしていました。


この1人だけ認められたふざけた勤務時間と勤務態度に


代表である主人は注意をし仕事を与え指示を出しました。


しかしあきのは指示を受けると般若の様に眉間にシワを寄せ


「これは私の仕事じゃない!!私は頭で考えるのが仕事だから」と指示された仕事を拒否しました。


その後

「私は部屋で雑誌を見たりして頭で考えるのが仕事だから、みんなに仕事をサボっているように思われる」

と私に悩みを打ち明ける様に話しをしてきました。


この特別待遇はあろう事か義父が与えたものでした。


本人が応じないため、義父にあきのに対する特別待遇を辞めさせる様に代表として主人が話すも


「あきのちゃんはすずめの涙のような給料で働いてくれている。あの子は会社を愛している。だから、金も取らずに働いているんだ。」と言い、あきのに注意すらしませんでした。


これまで両社の会計業務を手放さなかった義父だったため、


主人は社長でありながら1度もA社とS社の会計帳簿を見ることも出来ず、会社の実印も全て義父が持っていました。


そんな主人が今回の義父の突然の入院で初めて会計帳簿を見ることができたのです。


しかし給料明細を見ると、

そこに載っていたあきのの給料は社長の自分よりもはるかに高く、


あの子はトヨタの社員か!と声に出るほどの金額に怒りが湧き上がりました。


あきのの給料はA社の経営を傾けるほどかなりの高給でした。

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