5 チョメ?

「ふ……ふぇ……っ……う……うぅ~……え……ヒヒン……!や、止めて下さいぃぃぃ…………グスッ……あうぅぅ~……。」


ひんひん、死ぬほど情けない姿で許しを乞えば、スカイ様は一度動きを止め、今度は反対の乳首を擽りだした。


止めてくれたけど……そうじゃない!!


「全く!こんなモノを隠し持っていたとは……。農夫のくせに、なんだこれは!!言ってみろ!!」


そして突然の怒号に、大きく身体を震わせた後ギャン泣きしながら、叫ぶ。


「ちっ、乳首でしゅぅぅぅぅ!!!」


そして叫んだ後は、ワーッ!!!と泣いてしまったが、スカイ様は一切の気遣いなく更に怒鳴りつけてきた。


「では色は何色だ!!言ってみろ!!」


「ぴっ、ピンクですぅぅぅ……。」


「この2つだけか?!まだ隠し持っているんじゃないのか!!?」


「ふっ、2つだけですぅぅ……。」


大号泣している俺は気づかなかったが、なんと騎士達や他の村民達の中には、死ぬほど笑いを堪えていた人達がいたらしい。

とにかくめちゃくちゃな質問をしてくるスカイ様になんとか答えていると、やっと動きを止めてくれたが……またスカイ様は突然大激怒した。


「貴様ぁぁぁぁ!!!なんで形が変わっているんだ!!やはり、何か良からぬ事を考えてるのだろう!!」


ビシッ!と指を差された先には、直前まで擽られていた左乳首。

そっちは外界からのしつこい刺激に、すっかり乳首が立ち上がっている。


「こ、これは……かっ、片方だけ触られていたから……っ。」


グスングスンと泣きながら言い訳(?)すると、スカイ様は更に大激怒!!

突然俺の乳首を、両手で摘んできた。


「ひょぉぉぉぉっ!!?」


「だったらこれなら同じになるとでも!?言い訳も大概にしろ!!」


グニグニ!!

コリコリコリコリコリコリ~!!!


…………チョメチョメ……ツンツン!!


「あ……っ……やっ……止めて下さいぃぃぃぃっ!!……っあひょっ!!!あ……や、やだぁぁぁっ……っ。……」


遠慮ない動きによって乳首は翻弄され、両方すっかり立ち上がってしまうと、スカイ様はやっと手を離し、その場に倒れてしまった俺を冷たい目で見下ろす。


「ハァ……なんて強情なヤツだ!!そんなけしからんモノを2つも……っ!

おいっ!コイツは今から最重要危険人物だ!常に見張りが必要だと、俺が判断した。────立て。」


倒れたままビクビクオドオドしている俺に向かい、立つように命令してきたので、生まれたての子鹿の様な動きで立ち上がると……スカイ様は懐からあるモノを取り出した。


真っ赤な丸い形の装飾品。

それは長い鎖で繋がれている。


「脱走するおそれもあるからな。俺は油断しない。絶対に。」


スカイ様は心底嫌そうな顔でブツブツ呟きながら、俺の首にそれを装着したのだ。


「────えっ……。」


呆然とする俺に装着された首輪……そう首輪だ。

革製のガッチリしているモノで、周りには見たこともないくらい大きくて輝く宝石がはめ込まれている。

更にその首輪には長い鎖が繋がっており、その鎖の先にはスカイ様の手があった。


「「「「…………。」」」」


俺は勿論だが、他の皆もポカーンだ。

どんな悲惨で困難な戦いをくぐり抜けてきたであろう騎士様達だって同じ顔をしているんだから、俺が呆然としているのは間違いではないはずだ。


「ほら、お前の巣に案内しろ!怪しいモノがないか調べてやる!」


「……巣…………。」


またしても理解不能な言葉に、流石に見かねたのか、スカイ様の仲間である騎士様の一人が話しかけた。


「あ、あの……スカイ様?御冗談はそれくらいにしないと、村民達に動揺が……。」


先ほどまで笑っていた騎士たちは、一斉にウンウンと頷いて全員がそれを肯定したのだが、当の本人のスカイ様は首を軽く傾げる。


「??冗談??何がだ??」


ハテナを沢山飛ばしながら聞き返すスカイ様に、尋ねた騎士様は固まってしまった。


冗談じゃないらしい。この首輪は……。


ブルブル震えながら首輪に繋がった鎖を持っているスカイ様へと視線を向けると────ニヤァァァ~っ!!と好戦的な笑顔を浮かべてきた!!


「ひっ……ひぃっ!!」


「ほら、早く進め。」


悲鳴をあげる俺をクルッとまわすと、俺の背中がスカイ様の目の前に晒される。

すると、腰に差していた多分凄く高い剣を鞘に入れたままで、ツンツンと俺の背中を突いてきた。


『早く進まないと、この凄い光の剣で貴様をぶっ刺すぞ☆!』

そんな意味を感じる行動で、震え上がった俺は、もつれそうになる足を叱咤しながら自分の物置小屋の様な家へ向かう。


俺の生命は、後ろにいる悪魔が握っている。

それを理解し、周りも静かに見守ってくれた。


「ほぅ?お前の家は変わらず、このゴミ箱の様な場所なんだな。」


「ゴ……ゴミ箱……。」


中々のインパクトのある言葉に絶句しながらも、所々木が腐りながらも家の形にはなっている我が家を見上げる。


一応一家三人が住んでいた家。それをゴミ箱だなんてあんまりだ!


またグスングスン……と泣く俺を見て、突然スカイ様は扉を破壊する勢いで扉を開け、中をゴソゴソと探りまくる。


「……ふむ……怪しいモノはないな……。これだと世帯はおろか、遊びに来るような女性もいなそうだ。そうだな?!」


カッ!と鋭い眼光で睨みつけられ、すぐに震えながら頷くと、バカにする様に鼻で笑われた。


「フッ。では、これまで俺がここに来る前には、何人の相手がいた?嘘は必ずバレるぞ、正直に答えよ。」


「い……いません~……一人もいないんですぅ……。

俺の様な貧乏農夫にきてくれるお嫁さんなんていままで、誰もぉぉぉ……っ。」


情けなさと悔しさ、更に死の恐怖に晒され、正直今にもチビりそうだったが必死に我慢した。

そんな可哀想な俺を見て、スカイ様は満足したのかニヤリと笑い、近くに生えている木まで歩いていく。

どうしたんだろう?と思いながらその行動を見守っていたが、突然剣を抜いたと思ったら、その木をスパンッ!と切り倒した。


「…………?」


なんで木を??もしかして……焚き火用??


薪でも欲しくなったのだろうか?と思ったが、突然剣でそれをスパパパーン!と削り、巨大な杭を完成させる。

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