第2話キャットスマイル

 街の灯りは、清らかだ。

 僕は、街灯の下を通って、コンビニへ向かった。

 自転車で、車の間をすり抜ける。

 なんだか、乗った気分で、クラクションを食らうと、舌打ちを返す。

 それにしても、ミクヤのことは意識から離れていた。

 鼻歌は、流行のポップス。

 酔っているわけじゃない

 酔ってるわけじゃないんだ。

 僕は空を見上げることがある。

 立ち止まって、憂愁に浸るのではなく、ただ何となく。

 そうただ何となくが重要なのであって、擦れているというわけではない。

 流行のポップスは、適当に歌って、大通りの曲がり角で、自転車を止める。

 信号が赤になったからだ。

 そして、目の前を猫が横切る。

 素早い身のこなしで。

 素早い身のこなしで。

「気を付けなよ、キャットミサイル」

 そう唐突に呼んで、腹を抱えて笑った。

 キャットミサイルは、一瞬こっちを見た。

 にやり。

 と笑った気がした。

 そうにやりと。

 すっと目の前を車が一台取り過ぎる。

 すると、キャットミサイルは、いなくなった。

 かわいいどら猫、夜目にも黄色。

 僕は、キャットミサイルとサヨナラを告げると、コンビニについた。

 いつもの可愛い女子大生風の子が、「いらっしゃいませー」と声をかける。

 ハートマークのような顔をしていて、きっと素直な子だ。

「いい子」

 と心の中でつぶやくと、ラブリーと名付けた女子大生風の子に、缶コーヒーとスナック菓子を預けた。

 レジを打つ手をそっと見て、目が合うと、すっとそらす。

 お愛想のスマイルを頂くと、コンビニを出る。

 流星が降っていた。

 果てしなく清らかな寒さに、身を縮めて、そっと笑う。

 息が白くて、夜目にも雪の煙のようだ。

 キャットミサイルがまたいた。

 僕は急いで、スナック菓子を開いて、キャットミサイルに近づいた。

「素敵な夜だね、キャットミサイル」

「にゃ?」

 袋からスナック菓子をつかみ取りして、すっと差し出す。

 キャットミサイルは、飛びついて、スナック菓子を食い始めた。

 僕は自転車をまたいだ。

 ペダルに力を込めて、一気に発射する。

 そう言えば、サナリは、この星空の下で、何をしているのだろうか。

 何ていうことを思って、家路についた。



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