第十二話 ドスコイの初出ってどこなんでしょう……詳しい方はコメントまで……。

 舞台は整った……でも、油断は出来ない……屋敷に居る全てのメイドと客人を大広間に集め、今後の話をする。

「それで、オタクのメイドさんが強いのは分かったが……問題は帝国航空戦団……あれをやるにはこっちも同等に飛べる戦力が必要だ。」

 盗賊団のボスはその帝国航空戦団がかなりの脅威だと言う、何でも『魔導エンジン』たる物があり飛行船のような形で楕円形の下には操縦席や砲台などの人が活動するスペースがある、現在帝国の最新技術の一つであり、何より警戒すべきなのは下に格納された爆弾だ、街一つは吹き飛ばせるそうで大きなクレーターができたとか。

 

「とにかくだ!勝てる目星はねぇ!早く避難した方がいい!」

「『ソワレ』お前だったら行けるか?」

「イェス!マイロオオオオド!!」

 彼女はノクターンズに所属する『ソワレ』モンスターであり『パッチワークゾンビ』職業は『アクトレス』『トランスフォーマー(種族職)』つぎはぎゾンビだが、腕とか足とか色々換装可能であり応用が効く。

「対戦艦用フォームに換装……サマニア・メイデンと共に行動せよ。」

「イェス!マイ!マジェスティイイイイ!!」

 因みにコイツのテンションは元からおかしいのであまり気にはしない……。

 

「ん……換装システム?」

 盗賊団のボスは不思議な顔をする、この世界じゃロボットアニメとかの換装システムは通用しないだろうな……。

 

「いいか、この屋敷は破壊させないし何ならその航空戦団を壊滅させる。」

「お、おい!そんなんできんのか?!数は三隻!この数は普通じゃないんだよ!!」

「こっちだって普通じゃないだろ?」

 僕が建てた屋敷……そしてみんなが帰る場所……あいつらの好きにさせる気はさらさらない。

「僕を信じてくれ。」

「……分かったよ……。」

 ダリアーは渋々頷いた。

 

「盗賊団はカリス・ピスティソスと共にクレアトラ街で住民を防衛せよ、周辺の村や街にも避難を急がせるんだ。」

 まずは近隣住民の保護が大切……何より罪もない人間が殺される意味はない……僕が持ってる力を僕なりの正しさで使う……それだけだ。

 

「ソワレ、サマニア以外のノクターンズメンバーは屋敷を防衛せよ。屋敷のギミックをフルに活用し客人をもてなせ。」

「はっ。」

 フォスノーラが返事をしメンバーを集め何処かへ行く。

 

「ヴァリアンズはクレアトラ街に来る私兵を倒せ、カリス・ピスティソスは元々非戦闘員だ、お前達が率先して倒しに行け。」

「はいよ。」

 

「次にヴェスターズ、サリア夫人の剣の浄化を守れ。何人たりとも教会に入れさせるな。」

「畏まりました。さぁ、行きましょうサリア様。」

 ミトラスがサリアを連れ東棟教会へ行く。

 

「ご主人……私たちヘイムス・ヴィティズは如何なさいますか?」

 シックス・アイズは提案する。

「いや、お前達は城郭都市にいるマルクレイブ近衛騎士の相手をしろ、他一般兵もいる……もしアリスを見つけたら、殺さず拘束するだけで良い。」

「畏まりました。我が主人……♡」

 

 さて、これぐらいなら敵を殲滅出来るだろう……僕だって鬼じゃない……第一警告として最初は殺さないよう言う……それでも歯向かうなら殺すよう彼女達に命じた……航空戦団に関しては未知数なので悪いが堕とさせてもらう……。


 各々が配置に着くとひょっこりと顔を出すゴブリンが一人いや、一匹か……。

「あの……ハル様……私は一体どうすれば……。」

 忘れてた……そういえばミトラスに蘇生させたんだっけ……。へイムス・ヴィティズに拷問された後死んでしまったゴブリン術師だ。

「うーん……盗賊団と一緒に街を守ってくれ。」

「はい!精一杯頑張ります!」

 そう言うと彼は外へ行ってしまう……とにかくすごい忠誠心だ……何があったんだろう……。

 気にしてもしょうがないので僕はクレアトラ街へ行く……もう直ぐ日も沈む。


「センシア、住民は?」

「はい、住民は第一倉庫、第二倉庫へ移動し避難しています。第一倉庫にプロファンダーレとグルージャの魔法組と第二倉庫にマリブルが常駐……敵が侵入してくるであろう北入り口にはカストディーアが守ります。また、カリス・ピスティソスの中でも戦力が高い『ポンテ・モーレ』と『バーバリティ』はもしもの時に出られるよう周りを迂回してます。倉庫内では他のカリス・ピスティソスメンバーが住民を安心させている状況です。」

 

 センシアが水晶玉を渡す。

「こちら遠視の水晶になります。」

 小さな水晶が屋敷とクレアトラ街そして城郭都市メルトケーレに飛ぶ、その水晶から中継し渡された水晶玉から映像が流れる。

「さて、早速ですが……動きが……。」


 最初にやってきたのは僕がいるクレアトラ街……カストディーアはどう切り出すか……。

「そこをどけ!オーガの女!貴様のような異種族が居て良い場所じゃない!!」

「異種族……ってなんだ?」

 バカだった……脳筋乙女になって賢さが少し上がったが……所詮脳筋だ……。

「ふん!これだからオーガは……メイド服か……少し凝ってるようだが……貴様のようなデカブツには合わんな。」

「む……。」

「はは……間違いねぇ……こういうのは人間じゃないとな……誰も喜ばねーよ。」

 

「う……うる……さ……。」

 カストディーアが震えている……何があった……。

「うるさい!うるさい!うるさああああああい!!ご主人はこんなデカ女とエッチしたいって言ってたもん!!お前らの理解がないだけだああああ!!しねえええええええ!!」

 こんな所で暴露してんじゃねええええええええ!!

「え……ハル様ってそういうご趣味で?」

「違うわ!」

 違くないけど……。

 

「うお……マジか……。」

 マグロで一切表情が出ないマリブルが反応をする……外の連中にも聞こえてんじゃねぇかああああああ!!


「私達……これから寮でカストディーアになんて声かけば良いの……。」

「まぁ、恋だから……仕方ないわ……。」

 プロファンダーレとグルージャが微妙な反応してるぅううううう!!寮内が気まずくなってんじゃああああああ!!


「シーコちゃん……私応援した方が良いのかな……?」

「うん……パルマちゃんもそう思う?」

 倉庫の中も聞こえんてんのかよ!応援しなくてはいいわ!!つか、どんだけ声デケーんだよ!!


「良いか!警告だ!私達ヤマザキファミリアの前から消えろ!!」

 そんなんで伝わるのか……?

 

「馬鹿馬鹿しい……そのオーガを狩れ。」

「はっ」

 一般兵士が槍で突こうとするとカストディーアは掴み折る。

「良いか?もう一度攻撃してみろ?今度は本気だぞ?」

 折れた槍を捨て剣にもちかえ襲う。

 

「警告したからな……。」

 カストディーアは兵士の顔面を掴み持ち上げる。

「良いかよーく見ておけ、テメェらなんざリンゴより脆い。」

 兵士の頭は握りつぶされ体がドサリと落ちる……。

「か、かかれええええ!!」

 兵士が数十人で襲う。

 

「良いんだな?」

 カストディーアは背中に背負ったデカい斧を両手に持つ。

 あっとう言う間に数十人がバラ肉のように切り刻まれ、肉片が地に落ちる。

「ああ……なんて事だ……弓兵……早く!」

 弓兵が弓を引いた瞬間棘の付いた鉄のボールが顔面を抉る。

「やらせねぇよ。」

 持っていたのはモーニングスターであり体に鎖を巻きつけて携帯していた……。

 鎖が長い……遠距離用であるのが分かる。

「うおおおおおお!!」

 敵が次々と来るが、カストディーアに傷一つ付けられはしない……。

 弓兵の攻撃が間に合わないと分かると近く兵士を掴んで投げたり彼女は脳筋であっても戦いのプロである事に変わりはない……だからこそ彼女はヴァリアンズの一人でりリーダであると再認識させられる。


「どうやら東、西、南口にも敵が来てます……回り込まれましたね……。」

「とうとう中に入ってきたか……。」

 僕達は引き続き彼女達の活躍を見る。

 

「いたぞおおおおお!!」

「……弱い。」

 マリブルが刀に手をかける。

「抜刀術……レベル5……一閃。」

 敵兵士がマリブルに近づくと上半身と下半身が綺麗に切れる……。

「一体何が?」

「た、隊長……。」

「どうした?」

「か、顔が……。」

 隊長格の兵士の顔が目と鼻の間に綺麗な赤い切れ込みが出来る……そこからズルリと滑り落ちても口を動かしている。

「な……何が……あああ……っっtあんおおお」

「はぁ……はぁ……」

 周りの兵士はそれを見て動揺……脳が処理しきれない……。

「そいつ、死んでるの気づいてない……。」

 マリブルは兵士の背後に回っていた。

「ヒィ!」

「あんたも気づいてない……。」

「え?」

 兵士の頭が地面に落ちる……。

 

「私は素早さに全振りしてるから……誰も目で追えない……スキルも特殊で素早さの分だけ他パラメーターが上がる……。」

 刀を抜きもう一度収める……いや、抜いた時にはもう……。

「これでお終い……もう二度とそのツラ見せないでね。」

 十人近くいる兵士を綺麗に斬る……あっという間……恐ろしくも頼りなる。


 続いてプロファンダーレ……彼女もヴァリアンズ……敵を簡単に倒している。

「エルフ風情が!!お前らは大人しく奴隷にでもなってろ!!」

「低脳の考えね。」

 杖を地面に置くと魔法陣が多く出る。

「スーパーエレクトリックマジック……ライトニングフォース。」

 魔法陣からは雷が出てくる、シンプルだが強い……広範囲である為殲滅に向いている。

「ノン・エクスペンス・マジックポイント。」

 グルージャはプロファンダーレにMPを消費しない魔法をかける、やはりグルージャは魔法系のキャラと組ませるのが一番強い……おまけに回復の能力も強いしな……。


 こんな感じでヴァリアンズは良いチームだと思う……経験値稼ぎの際はとても世話になったからなぁ……。

「ん?ハル様……緊急事態です……。」

「何?!」

 

 ——第一倉庫で問題が発生……。

「メイドさん……私の子供がどこに行ったか知らないですか?」

「居ないんですか?」

「ええ……。」

 子供から目を離していけない……今まさにそれが起こってる……。

「シーコ……一緒に行こう?」

「分かったパルマ……。ここは任せました、『ライア』、アウストラ……。」

 そこの倉庫にはライアとアウストラが居るのか……アウストラは能力が低い……敵と遭遇したら万一がある……ライアは『人魚』で『アクアリス』という種族だ……足が魚じゃあ不利だ……。

 

 もう一つの倉庫にルトロスと『ボイーチェ』と『バイアトリット』が居るが……運よくそっちの倉庫に来る訳ないよな……。


 てか、どこに居んだ……その子供は……。

 小さい水晶玉を動かし、子供を探す……こいつか?

「おっしゃー!鬼ごっこしようぜ!」

「おう!」

 こんのクソガキャあああああ!!くだらねぇことで外に出てんじゃねぇええええええええ!!

 おい!親ああああ!!どうなってんだあああああ!!


「おい、ガキが居たぞ!」

「へへ、人質にでもするか……今の状況は確実に俺らが不利だからな……。」

 兵士二人が子供に近づく……これはヤバイ……ここは今すぐに僕が……。

「そうはさせません!」

 シーコがフライパンで兵士と応戦……鈍器使いだからな……。

「こいつドワーフか……?」

「パルマ、子供達を!」

「は、はい!」

 パルマは子供二人を倉庫まで誘導する。

 シーコは何かと善戦する……ここは彼女に任せるべきか。

 

「センシア、僕がパルマの所へ行く。」

「畏まりました……おや……。」

 水晶玉の映像に変化が見られる……。

 

「食らえ獣人風情が!」

「お、お許しおおおおお!!」

 また、新たに兵士二人が……まずいパルマがやられる!

 

 パルマが頭を下げた瞬間兵士の股間に頭がクリーンヒット……。

「があああああああ!!」

「おのれ!許さん!」

 もう一人の兵士も襲い掛かる。

「あ、あわわわわ!!」

 立ちあがろうとした瞬間足を躓き兵士のズボンに手を掛けるとパンツ姿になる……どうなってんだ……。

「貴様!何の真似だあああ!!」

「ご、ごめんなさい!!」

 パルマがまた立ちあがろうとすると兵士の顎に頭が当たり兵士は気絶……戦闘能力がないパルマが二人の兵士を倒したのだ……何これ……。

 同時にパルマも今ので頭を強く打ったのか気絶……スカートが捲れており無様だ……てか、お前パンツにレッサーパンダのワッペン貼ってるのか……子供ぽくないか……いや、別に可愛いけどさ……。


「……確かステータスは運の良さに全振りしてたな……。」

「ええ性格も『ド天然』とかなり運の良さに重点を置いた性格です……。」

「そういえばスキルに『偶然という名の必然』ってあったな……あれが原因か?」

 ピンチ状態になった際回避率が50%上昇……会心率も50%になる……そして運の良さによってはそれらがさらに上昇……運の良さ以外を捨てたステータスにこのスキルは相性が良かったようだ……。


「と、とにかくだ!パルマと子供を回収してくる!」

 シーコに関してだが、彼女はフライパン一つで兵士を倒した……お前らギャグ漫画か……?


 ——一方で盗賊団はマルクレイブが派遣した私兵と戦っていた。

「オウバン!敵をここまで引きつけろ!」

「おうよ!」

 オウバンが敵をダリアーのいる建物まで引き付ける。

「弓矢部隊、撃て!」

 すると兵士の半数は戦闘不能になるも突撃を再開する。

「ゴブリン術師!」

「はっ!ネイチャーバインド!」

 ダリあーの指示で石造りの床の隙間から木の根が出てきて足を止める。

「今だ!メイドさん方!」

 屋根の上からポンテ・モーレとバーバリティが降りる。

「発勁!」

 バーバリティはドッグリアンという獣人の種族であり職業は格闘家……敵を次々と倒して行く。

「暗殺術……レベル3……アサシンアタック。」

 ポンテ・モーレは獣人で『キャットリアン』職業は盗賊だ……素早い各個撃破で殲滅する。

 

「はい、終了ー。」

「ふん……呆気ないね。」

「早いとこ私達もノクターンズかヴァリアンズに移寮したいね、ポンテ・モーレ。」

「でも、今の私達じゃあの方達の足元にも及ばない……所詮カリス・ピスティソスで働くのが関の山さ。」

「でも、センシア様とルトロス先輩はぶっちゃけヘイムス・ヴィティズより強いでしょ?なんでカリス・ピスティソスに留まってるのさ?」

「そんなん分からないよ……ただ単に一番初めに作られたからっていう思い出があるからじゃない?まぁ、そんなのご主人しか分からないけど……。」

「ふーん。」


 ——また、第二倉庫でも異常が見られた。

 天井からガタガタと音が鳴る。

「へへ、マルクレイブ卿はいろんなマジックアイテムを持ってるな……。」

「ああ、このネズミのペンダント……何でも聖王様から譲り受けたらしい……。」

 兵士が二人、アイテムを使い屋根から侵入……誰にも気づかれず任務を遂行しようとする。

 

「ん?」

「どうしました、ルトロス先輩?」

 中にはルトロス、ボイーチェ、バイアトリットの三人がいた。

「物音が……。」

 ルトロスが眼を凝らす……。

「おい!」

 ルトロスが何かに気づき壁にパンチするとヒビが入る……兵士の透明化が消える。

「もう一人いんだろ、どこだ?」

「な、何故?分かった?!」

「良いから喋ろっつてんだよおおおおおおおおおおおお!!能無し如きが質問するなぁあああああああああ!!」

 ルトロスのスキルに『脅迫』がある、他にもスキルが豊富にあり全てアイテムによって得たものだ……ハルマがどういスキルかを見極めるため、一番最初に作られた事もあり試験体のような扱いを受けていた……それが今役に立っている。

 

「あ、あれ……。」

 兵士が避難した住民の所に指を指す。

「おい!なにバラしてんだ!」

 避難民に紛れていたようで透明化が解けると避難民を人質に取る。

「良いか?ハーフエルフの女?!近づいてみろ?こいつがどうなっても良いのか?」

「ヒェ……お助けを!」

 住民が怯える……。

 

「ああ……お前どっかで?」

 ルトロスが凝視……何か思い出している。

「ああ?!お前?!」

 兵士も気づいたようだ、何を隠そう……その兵士はルトロスによって鼻を折られた兵士だ……。

 

「貴様?!あの時の?!」

「黙れ!ゴミカス!息がくっセーんだよ!!」

「良いのか?!そんな口聞いて?!」

 人質の首にナイフが迫る。

「調子に乗ってんじゃねぇ……。」

「はは!!今までの威勢はどこ行った?!おい、そいつの服を脱がせ!」

「は、はい!」

 何も出来ないことを良い事にルトロスを利用する。

「後ろのメイドも見てろ?!おい、ハーフエルフ!裸になって外へ出るんだ!」

「ぐへへ。」

 

 兵士がルトロスに手を掛けた瞬間……。

「マジで……マジで……マジでマジでマジでマジでマジでマジで……」

「お?」

 ルトロスが何か呟き始める。

「死んでしまえぇえええええええ!!こんの腐れ外道があああああああああ!!」

 

 第二倉庫の屋根が吹き飛ぶ……。

「この体に触って良いのはハルマ様だけなんだよぉおおおお!!テメェ見てぇな下品な男に触られると蕁麻疹が吹き出んだよおおおおおお!!ネズミ同等の病原菌に相応しい死に方ってもんを学ばなかったのかぁあああああああ!!こんの、タンカスがぁあああああ!!」

 すると、服を脱がそうとした兵士が炎上する。

「あああああああああああああ!!」

「病原菌はヨォ!!消毒しねぇとなぁあああああああ!!汚物は消毒だっていう素敵な言葉を今体現してんだよぉおおおおおおおおお!!苦痛じゃなくて感謝を述べろっつってんだぁああああああああ!!こんの!!バカアホ腐れネズミがああああああああ!!偉そうに人間の振りをするもんじゃなイイイイイイイイイイ!!」

 

「い、一体何が?!」

 兵士の炎上に頭がついて行かない。

「貴様も!!貴様も!!貴様も!!人の主人にケチ付けやがってぇええええええええ!!調子に乗って生きるのが恥ずかしくないんかああああああ?!ワレェ!!」

「ヒェ……。」

 ルトロスは目にも留まらぬ速さで接近、兵士のナイフを掴む。

「テメェにも相応しい死に方ってもんを教えてやる!」

 兵士の手をバキバキに折って人質に注意を払いなが外へ出すよう蹴り上げる、倉庫外の地面に体を強打してる頃には兵士の骨はバキバキになっていた。

 

 追い討ちを掛けるように、その兵士にルトロスは近づく。

「ゆ、許して……。」

「はぁ……はぁ……どうしてくれんだ?」

「は?」

「お前の病気が頭にまで移ってんだよぉおおおおおおおお!!」

 兵士の掴んだ手は右手……左手でガリガリ掻いていた……時々頭もガリガリと音を立てて掻き始める。


 ——その時丁度、気絶したパルマを抱えた僕はルトロスを発見……子供達はシーコに任せてここに居るが……何してんだ?

「る、ルトロス……?」

「ハルマ様……。」

 なんだ……目が充血してる……顔色も悪いし……。

 

「た、助けてくれ!」

 うお!敵兵がぶっ倒れてる……あれ、ルトロスがやったのか……。

「うるさい!!」

 ルトロスは兵士の顔面に足を思いっきり踏みつける……うわ……グロ……。

「ああ……ああ……もう……ヤダヤダヤダヤダヤダ……」

「えぇ……。」

 すると、こちらに近づき抱きついて来た……えぇ何……。

「ハルマ様……ハルマ様……私の事、嫌いにならないで……。」

 えぇ……マジで分からんな……。

「いや、別に嫌いにならないけど……。」

「私、他の異性に触られるのがこんなに嫌なんて……もう……おかしくなる……。」

「大丈夫大丈夫……そんなんで嫌いにならんよ……。」

「はぁ……はぁ……本当ですか?」

「も、もちろん……。」

 なんだ急に息が荒くなったぞ……。

「もう……おかしくなりそうです……私が裸で外に出て好奇の目に晒されることを……。」

 は?!どういうこと?!何一つ理解できねぇ!!

「ちょ、ちょっと……え?!」

「黙って聞いてって言ってるでしょおおおおおおお?!」

「は、はいぃいいいいいい!!」

 言ってねぇけどな……。

「私気づいちゃったんです……この身の全てはハルマ様の……だから、他の男に私の全てを見られるのは憤りと悲しみ……そして私自身の主人に対する愛の無さに死にたくなっちゃう……。」

 え?!最後何?!

 

「同時に……初めての目覚めを見たセンシアが憎い……初めての抱擁もシックス・アイズ……あなたの裸を最初に見たのはカストディーア……ふざけやがって……ぶっ殺してやる……殺す殺す殺す殺す……」

「ええええええええええええ!!」


「ま!今は良いでしょう……心から憎んでる訳じゃないですし……さっきの発言は冗談ですよ♡」

 その後ケロッと態度が変わる……うぅ……怖すぎる……助けて……情緒が……彼女の性格は『品行方正』……なのに転生して最初会った時は全く違った……エロ本のせいか?

 

「私はあなたの初めて……そして、あなたは私の初めての殆どを奪った……だから……いつまでも……」

 彼女は僕の顔を見つめる……目の奥は笑ってない……。

 

「私の最初のご主人様でいてくれますよね?」


 ルトロスは『スーパードスコイヤンデレ彼女』に変わっていた……。

 

 第十三話に続く……。

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