第19話 なんだこれ?!古代遺跡の谷底で。
第19話 なんだこれ?!古代遺跡の谷底で。
(What Is This?! Deep in the Ruins Valley)
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ビュオオオーーーン と、遺跡の下層からは激しい突風が突き上げてくる。もし道から外れてそこから落ちでもしたら……
『もしかしたらおれ……
空、飛べんじゃねぇか……?』
と一人、場違いな妄想を膨らませるアルテナ。
愛くるしい異星生物を抱いたまま、下層へと続く道を黙々と突き進んでいくノエマ。
そしてその二人の後ろでは、プルーデンスが先ほどの『 モノリスが示した反応 』について歩きながら熟考していた。
「……せい……!」
「…先生、先生ってば!」
「……ん?アルテナ。どうしたんだい?」
「先生、あぶねーよ。そこ。」
アルテナが示したのは、滑落すれすれの崖の端を歩くプルーデンスの足元だった。
「ん?ああ、なんだ。それなら大丈夫だよ。心配いらない。もしここから落ちたとしても、僕はしにはしないから。」
「はあ?!どゆこと?!」
「僕は……『 AIと自分の意識 』を統合して
『 再構築 』された、『 完全なる記憶体 』だからさ。」
「???」
「あはは!っと、すまない。話せば長くなりそうだし、あとで改めて君たちに話すことにするよ。」
「それはそうと、もうすぐ遺跡の最下層だ。さて、果たしてそこには何が待っているかな。」
「先生の話は相変わらず良く分かんねーけど、まずはこの先にあるってもんを見てからってことだよな?」
「うん。そう言うことになるね。」
少年と教師がそんな話をしていると、ついに三人と一匹はその『 古代遺跡の最下層 』へと辿り着いていた。
「「……!!!」」
「……これは……なに?」
「たっ……たまごじゃねえか!?
それも、めちゃデカい……」
「そう。これは卵だ。」
「でも……ずいぶんむかしの
たまご?に見える。」
三人が話すそれはーー
ところどころがボロボロに欠けた
『 巨大な卵の殻 』だった。
一目見ただけでそれは圧倒的な存在感を
放っていた。
「なにが……ここから産まれたんだ?」
少女と少年は、目の前に現れた『 巨大な卵 』を見て驚愕した。
「これはね。……『 超古代文明が栄えた時代 』に実際に生きていた『 龍の卵 』なんだ。」
「りゅ、『 龍のたまご 』……?!」
「お父さん、『 りゅう 』ってどんな
生き物なの?」
「二人とも、これを見てごらん。」
と、プルーデンス先生は生徒たちにもう一つのある物を示し、話しの先を続けた。
「この『 碑文 』……大昔の人類が書き残した『 手紙みたいな物 』はね。この『 卵から産まれた龍 』について記してある……らしいんだけど。」
「……残念ながら今の僕にはそのすべてが、まだ分かってはいないんだ……。」
「そうだ!アルテナ、ノエマ。
ちょっとこっちに来てくれないかい?」
二人と一匹を古代の碑文の前に呼び出したプルーデンスは、二人にこう言った。
「 どうなるかは分からない。だが、ためしてみる価値はある。……じゃあ二人とも」
「……この、文字は分かるかい?」
ノエマは碑文を一通り眺めて父に言う。
「ん。……ぜんぜん、読めない」
「そう……か。
プルーデンスはアルテナに声をかけようとしたが、それは実現しなかった。
「…………」
「……先生……おれ……なんでだ……?」
「この文字、ふつーに読めんだけど。」
「「!!?」」
少女と教師は驚き過ぎて若干引いている。その姿があまりにも似すぎていて、少年はそれがなんだか羨ましく思った。
「フィィィ……!!」
と、再び何かを警戒するかのようにフィリムがぴょんっと少女の胸から飛び出して、『 古代の碑文 』をみて低く唸った。
「フィリム、アルテナ……?」
少女は戸惑っていた。
その時、プルーデンスは恐る恐る少年に尋ねた。
「アルテナ……一体君は……」
「いや、そこには何が書かれてあるんだい?」
「ん?先生これか?」
とアルテナが『 碑文 』に触れた瞬間ーー
ノエマの胸の上でペンダント=
『
紅く輝き出し、遙か上空に浮かんでいる『 モノリス 』に向かって『 光の糸 』を結んだ。
そして、『 碑文 』に触れたままでいたアルテナの全身が碧く輝き出す。たちまち二人の光は混ざり合い、遺跡の最下層を白紫光が満たしていった。
「う……うおおっ!なっ、なんだこりゃあ!?」
「一体これから、なにが
始まるというんだ………」
プルーデンスがそう言うとーー
遺跡の最下層。その中心部である
割れた龍の卵が鎮座する場所 の前に
突如『 光のスクリーン 』が現れ
そこに映像を投影した。
•・・+♦︎。°。°+•・.•:〜.✴︎✳︎❇︎✳︎✴︎
ぴきっ
ぱきぱき バキッ!
[ふあああ〜〜〜あ………]
大きなあくびを一つして。
その小さな龍は永遠の眠りからーー
目覚めた。
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