アタシと先輩のシーソーゲーム
伊吹 ハナ
第1話 アタシの話
こんばんは〜、先輩。
アタシ、今日も約束の時間から遅れちゃったのに律儀に待ってくれてて嬉しいなあ。
ほらほら、外は寒いので早くお店行きましょ!
あーいいです、居酒屋の方が気が楽でしょ?
へへーん、先輩が行きやすいお店に付き合うアタシって、良くないですかぁ?
*
──店内にて。
うう〜……先輩、聞いてくださいよぉ〜。
アタシ、彼氏に振られちゃったんです〜! 今回は長い方だったんですけど!
──え? アタシが尽くしすぎ? アハハ、ウケる〜! 家事も料理も掃除もゴミ出しも……確かに、アタシがしてるか……
てか! 何も言ってないのになんでわかるんですか! 長年の付き合い? ……そ、そりゃ、アタシたち出会って5年ですけど。
──こうやって僕を誘う時はいつも傷ついた顔してる……?
そーですか。そんな自覚なかったなあ。
……。
……ねー先輩。
出会った当初から彼女いないって言ってましたけど。
それは今もなんです?
……。
……えー、やば!
この歳になっても年齢=彼女いない歴って存在するんですね! ウケる〜!
……じゃあ。
じゃあ、先輩。
アタシが最初の彼女になってあげようか?
え?
──彼女はいないけど、彼氏はいる?
──今まで言ってなくてごめん、て……
いつから? ──わたしと出会う前から?
……あー。
そうなんすね。
なぁんだ。
初めて会った時、なんかこう……ビビッと来ていたのはアタシだけ……だったんですね。
いやいや! そんな頭下げないでくださいって! ……アタシが鈍感過ぎただけだったので!
先輩のコト、いいかも〜と思ってたのに別の男と付き合ったりもしてたどうしようとない自分なので!
だからこれからも……普通に先輩と後輩として。よろしくお願いします。
──嬉しい、ですか。
──カミングアウトするともう縁が切れるものだったから……て。
そ、そんな理由で関係が壊れる人間関係なんか! そんなの初めから友達じゃねェ〜!
……コホン。失礼しました。
ねえ先輩。今度彼氏連れてきてくださいよ。アタシも近いうちにまた彼氏作──無理して作らなくてもいい?
──1人でいる時の方が生き生きしてるよ……って。
アタシ流石に一生独り身は嫌ですけど⁉︎
ちょっと、なんで笑ってるんですか!
もー! 散々な1日だ!
彼氏には振られるし、先輩にも振られるし!
今日は朝まで付き合ってくださいね、先輩‼︎
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