ぜひ読んで欲しい!スペインに滞在した頃の物語3選!
- ★★★ Excellent!!!
これは、著者のエッセイ『夕暮れ時の幻想。過ぎた日々の夢。』から抜粋された3作品である。
中でも、“スペイン(あるいはポルトガル)での滞在記”から選ばれたということで、それぞれ独立した話でありながら、どこか繋がりを感じる。
本来独立した作品だが、3つの作品には「写真」という共通点がある。
「1、マリーという女の子のこと」では、アルバムに貼られたマリーの写真。
「2、スペインの田舎の子供たちへ」では、著者が撮影し、あとで郵送した現地の子供たちの写真。
「3、ポルトガル幻想」では、後で送ってもらうよう頼んでおいたのに、未だに届かない写真。
これらの写真の所在はまちまちだが、著者の織り成す文章はとても映像的で、わたしが見たことのない景色さえ、まるでこの目で見た記憶であるかのように追体験させてくれる。
「心のアルバム」という言葉があるが、著者の心の中にもまた、過去の記憶が一場面ずつ貼られているアルバムが、確かに存在しているのでろう。