第21話 田中さんの部屋だ!第三次(より強い)捕獲に向けて)①

鈴木裕美です。

午前7時25分に田中さんのアパートの前に着きました。

上品な煉瓦張り外壁です。(家賃も、おそらく高い)

「うー・・・ドキドキする!」なんて、言ってはいられません。

これから、サンドイッチ(母陽子に叱られながらの共同作業ですが)を食べさせて、さらなる「愛」に発展させようと思うのですから。

(第三次捕獲作戦の開始です)

(誰ですか?大惨事なんて、タワゴト言う人は・・・)

(結局、ドキドキして来ました)


チャイムを鳴らす時、深呼吸を二回しました。(今日はブラがキツイかも)

インタフォンで「おはようございます!鈴木裕美です」

(「裕美です」で、入りたいなあ)


「開けます」

(極上のテノール声が聞こえました)

(今度、私のためだけに、歌って欲しい)


田中さんのアパートに入りました!

平成初期の我が家とは違い、実に現代的でスッキリとした内装です。

壁には、ターナーかな、印象派の複製画が、何枚もかけられています。


リビングに入ると、濃紺上質革張りのソファと、漆黒のテーブル。

整理整頓と掃除は、完璧です。

(これで私の部屋は・・・見せられなくなりました)


「むさ苦しくて、申し訳ないです」

(謙虚だな、この人)


「いえ・・・住みたくなります、広く感じます」

(今夜から?今からでもOK!)


「紅茶淹れます」

田中さんは、キッチンに消えた。

(でも、後ろ姿が見える)

(しっかり茶葉から淹れる本格派だ)


「アールグレイにしました」

(ほお・・・好みも一緒だ)

(カップはすぐにわかった、横浜元町の名陶器店のもの)


同じ横浜元町陶器店のお皿が置かれたので、私はサンドイッチを並べた。

「タマゴサンド、ハムサンド、ジャムサンドです」

(ドキドキする・・・ブラがきつい。くい込んでいる)

(胸が田中さんに反応している感じ)

(解放して欲しい・・・田中さん、お願いします)


「なんか・・・申し訳ないような」

(もう・・・私は、そのレベルではありません)

(来たくて来ていますので)


「お味は・・・どうです?」

(田中さんは、タマゴサンドを食べている)


「やさしい味で、好きです」

(私を、好き、と言って欲しいのですが)


「すごく落ち着く部屋ですね、いい感じです」

(田中さんと一緒だから、落ち着くの)(住みたいなあ、ここ)


「うーん・・・ほとんど何も無くて」

「ピアノの練習と寝るだけです」

(まだ、私の気持ちを察しない?実は、他に彼女いるのかな)


サンドイッチは食べ終えた。

アールグレイも、飲み終えた。

田中さんは、食洗乾燥機を操作している。

(この洗い物の量で・・・贅沢過ぎるかも)


「田中さん、今日の授業は?」

(ちなみに、私は午後から)


手帳を見て田中さん

「午後からですが・・・何か?」

(よし!もう逃がさない!)


※田中さんの部屋だ!第三次(より強い)捕獲に向けて)②に続く

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