だんごまるみへの応援コメント
みなかみもとさん、自主企画に参加してくれてありがとうな。
『だんごまるみ』、最初は「クワガタムシになりたいカブトムシ」という可愛らしい悩みから始まるんやけど、読み進めるほど、これが案外ひとの心にもよう似た話やなあと思わされたんよ。
大きくて立派なカブオがしょんぼりしてて、ずっと小さいマルミが腕組みしてぐいぐい引っ張っていく。この時点でもう二匹の姿が目に浮かぶし、マルミの勢いに押されながら、カブオが少しずつ自分の声を出していくんも楽しかったわ。
ほな今回は「猫の縁側」。人間――やなくて虫たちやけど――その愛すべき不器用さを眺めながら、夏目先生にゆっくり語ってもらうな。
■ 夏目先生の講評――「猫の縁側」
みなかみもとさん、読ませていただきました。
これは実に愉快な童話です。もっとも、愉快だから軽いというわけではありません。むしろ真面目な者ほど、ときどき妙に可笑しくなる。その人間らしい現象を、虫たちがなかなか見事に演じております。
まずカブオがよろしい。
立派な角を持ったカブトムシでありながら、本人はしょんぼりとしている。そして胸の内に抱えているのが、「クワガタムシになりたい」という願いです。外から見れば十分立派なのに、本人にはそれが慰めにならない。これは虫の話でありながら、ずいぶん人間にも覚えのある心持ちでしょう。
他人には羨ましがられるものを持っていても、本人が欲しいものは別にある。すると周囲の「あなたはそのままで立派ですよ」という言葉さえ、ときには本人の悩みとは少々ずれたものになります。
この作品が優しいのは、そこでカブオに「カブトムシである自分を受け入れなさい」と説教しないところです。
マルミは実に乱暴です。声は大きい。思い込みも激しい。おまけにクワガタムシを探すと言って花畑へ行ってしまう。知識より先に足が動いております。困った虫です。しかし、この困った虫が、カブオの願いだけは笑わない。
「知らないなら、まず聞きに行けばよい」という方向へ話を運ぶ。
理屈としては少々無茶です。それでも、ため息をつきながら一人で答えを決めてしまうより、よほど生命力がある。その無鉄砲さが、カブオを外の世界へ連れ出しております。
そして二匹が花畑で喧嘩をする場面が、わたくしにはとても好ましく思われました。
マルミは善意からカブオを引っ張っておりますが、善意があるから間違えないとは限りません。クワガタムシのことをろくに知らずに歩き出してしまい、カブオから思い込みを指摘される。
一方のカブオも、それまではおずおずしていたのに、腹が立つとちゃんと言い返す。
人というものは不思議なもので、勇気を出そうと思っているときより、腹を立てているときのほうが案外よく声が出るものです。カブオもおそらく、その類でしょう。実に微笑ましい。けれど、この一度の口論によって、彼はただマルミについて歩く存在ではなくなります。
ここが巧いところです。
成長というものを「立派になること」だけで描かず、「人に反論できるようになること」から始めている。相手と本当に近くなるには、ときには喧嘩も必要なのでしょう。
さらに青いチョウも面白い。
大声はいけないと言っておきながら、自分がわくわくすると声が大きくなる。こういう小さな矛盾が人物――いや、虫物とでも申しましょうか――を生き生きさせています。正しいことばかり言う案内役ではなく、本人も少々おかしい。
童話では、この「少々おかしい」が非常に大切です。教訓を伝えるためだけに登場人物を並べると、途端に彼らは説教の札を首から下げたようになります。しかし本作の虫たちは、それぞれ自分の癖を持って動いております。
そして物語が進むにつれて、最初に見えていた二匹の役割が少しずつ入れ替わっていくのもよろしい。
いつも威勢よく先へ出る者にも、立ち止まってしまうときはある。一方、気弱で誰かの後ろを歩いていた者が、怖さを抱えたまま声を出すこともある。
ここで大切なのは、カブオが急に何者をも恐れない立派な英雄へ変わるわけではないことです。
怖いものは、やはり怖い。それでも、目の前の相手を放っておけない。
わたくしは、この程度の勇気が好きです。
何者をも恐れぬ英雄より、震えながら何とか一言を発する者のほうが、ときにはずっと切実です。そしてその一言が出たのは、彼が最初から勇敢だったからではなく、マルミと喧嘩をし、チョウと話し、いろいろな相手と関わってきたからでしょう。
つまりカブオは、まだ「なりたいもの」にはなれていなくとも、朝のカブオとは少し違うカブオにはなっております。
そして結末もまた愛らしい。
探していた答えが、何もかも都合よく見つかるわけではありません。けれど、カブオは一人でため息をついていたところから、誰かと一緒に明日へ進もうと思えるところまでやって来る。
答えを得たわけではないのに、世界は少し明るくなっているのです。
しかも最後には、マルミにもまた彼女なりの「なりたい姿」があることが見えてきます。
あれほど偉そうにカブオを引っ張っていた虫も、実は自分だけの願いを抱えている。
考えてみれば、だからこそ彼女はカブオの願いを笑わなかったのかもしれません。
もっとも、作品はその心の内を詳しく説明しておりません。それでよいと思います。最初から自分自身を重ねていたのか、それとも一緒に歩くうちに何かが変わったのか。その辺りを少し残しておくことで、マルミにも読者が入り込める余白が生まれています。
気になったところを一つ挙げるなら、中盤のチョウとのやり取りは楽しいだけに、少々長く感じる読者もいるかもしれません。また、花畑や林には、匂いや風、葉の音など、ごく平易な感覚描写をほんの少し足してもよいでしょう。
ただし、どちらも大きく直す必要はありません。
この作品の長所は、説明を重ねることではなく、虫たちが喋り、喧嘩し、勘違いし、怖がり、その結果として少し変わっていくところにあります。ですから手を入れるとしても、その軽快さを損なわない程度がよろしいでしょう。
そして何より、本作には「なりたい自分になる」という題材を、安易に「今の自分を好きになりなさい」で片づけない面白さがあります。
なりたいものがあるなら、探してみればよい。
無理かもしれない。それでも、誰かと一緒に探しているうちに、昨日とは違う自分になっているかもしれない。
なんとも気の長い話です。しかし人生というものは、案外そういうものなのでしょう。
カブオとマルミは、互いに相手を完成させるわけではありません。ただ、一人で抱えていた願いを、誰かと一緒に持って歩けるようになる。
その小さな変化が、この童話の大きな魅力だと、わたくしは思います。
みなかみもとさん、明るく可笑しく、それでいて読後にはやさしいものが残る作品でした。どうぞこの二匹の「明日」の余白を、大切になさってください。
■ ユキナから最後に
夏目先生の話を聞いてて、ウチも改めて思ったんやけど、この作品って「願いが叶ったから笑える」話やないんよな。
答えはまだ見つかってへん。それでも、朝には一人でため息ついてたカブオが、最後には誰かと明日のことを考えられるようになってる。それだけで、もう朝とは世界の見え方が変わってるんやと思う。
それにマルミも、ずっと強いだけの子やない。思い込みで突っ走ったり、立ち止まったり、自分にも言葉にしきれへん願いがあったりする。それでも、カブオの「なりたい」を最初から笑わへんかった。その不器用な優しさが、ウチは好きやったな。
みなかみもとさん、可愛らしい虫たちの掛け合いを楽しみながら、誰かと一緒におることで少しだけ前へ進める、そんなあったかいもんを読ませてもろたよ。ありがとうな。
ユキナと夏目先生(猫の縁側 ver.)
※ユキナおよび夏目先生は、GPT-5.6による仮想キャラクターです。
作者からの返信
とても丁寧なコメントを本当にありがとうございます。
並びに、レビューまで……。嬉しいです。
子供向けとして書いた童話でしたが、あまり評価されていなかったのでしょんぼりしていたところ、多方面から評価していただき本当に嬉しく存じます。
励みになりました、本当にありがとうございます。
だんごまるみへの応援コメント
拝読しました
非常に心温まる作品で、児童向けの物語も馬鹿にはできないなと思いました
言葉は強いけれど心優しいマルミちゃんや、すこしずつ成長していくカブオを見ていると、自分も頑張らないとな、なんて、そんなことを考えます
クワガタムシにはなれないかもしれない
カブトムシにもなれないかもしれない
でも、やってみなければわからない
やる前から諦めるのはもったいないですよね
そんな、大切なことを学べる作品だと感じました
★★★評価&レビューを置いていきますね
執筆、お互いに頑張りましょう!
よろしければ、こちらの作品にも遊びに来てくださいね
作者からの返信
拙作を読んでくださり、ご感想にレビューまで本当にありがとうございます。
児童文学を目指して書いた作品でしたので、そのような評価をいただけたこと、大変嬉しく思います。
やってみないと分からないと、こどもに伝えたいと思い書いた者の、ちょっと説教くさくなってしまったのは反省しております。でも、そこを読み取っていただけたことが本当に嬉しいです。
どうもありがとうございます。
また、八白嘘様の作品も拝読させていただきます。
だんごまるみへの応援コメント
こんばんは。お邪魔しております。
カマキリさんの生態は、彼の性格を考えるとちょっと気の毒ですよー。そういう所も含めて、凄く素敵なお話だと思いました。
……よく考えたら、カブオ君って、ヘラクレスオオカブトなのですね⁉
大好き……私もこういうお話が書けるようになりたいですー!
作者からの返信
こんばんわ、読んでくださって、本当にありがとうございます。
カマキリの生態からして気の毒な話なのですが、口頭で話した続きでは、カマキリさんもちゃんと楽しく生きていけるようになっております。でもそこも含めて素敵と言っていただけて、嬉しさで身を捩っています、えへぇ。
そう、カブオ君はあのヘラクレスオオカブトなのです。本人の価値に気づけないのは本人だから、他の人といると自分の価値に気づけることあるよね? というのを、ちょこっと説教臭くかいてしまいました。でも大好きと言ってもらえて本当に嬉しい……!
コメントありがとうございます、励みになります!
だんごまるみへの応援コメント
コメント失礼します〜(*´∀`*)
普段童話を読まないんですが、とっても面白かったです!!! マルミちゃんかわいい!!! 最後、マルミちゃんがどうしてカブオに声をかけてくれたのかが明かされたところでほっこりしました。
普段見かける虫さんたちにもこのような世界が広がっていたら素敵だなあと想像できるお話でした。素敵な物語をありがとうございます!!ヽ(*´∀`)
作者からの返信
読んでいただき、コメントまでありがとうございます。
カクヨムでは異色の話ではありますが、面白かったと言っていただけて嬉しく思います。
元々が小さい子に即興口頭で話していた話なので、虫多めではありますが、色々想像して貰えるとありがたいです!でも私自身は虫苦手なんですけど、ね!
コメントありがとうございます、励みになります!
だんごまるみへの応援コメント
早速、拝読させて頂きましたm(__)m
私は昔、教育関係の仕事をしていたので、
児童書もよく読んでいたのですが、
きちんと児童書っぽい作りになっていたと思いますよ(^^)
ただ、絵がついて、絵本の形のほうがいいかもとは思いましたね。
カブオやマルミを、優しいタッチの絵で見てみたい気がしました。
カクヨムの多様性の為にも、
こういう作品はもっとたくさんあっていいと思いますね。
作者からの返信
読んでくださり、コメントまでありがとうございます。
児童文学になれていましたか?それなら本当に良かった……。
絵がないとやはり足りない作品だと自分でも思っていたのと、そう仰って貰えてまさにその通りなんです!と思っているところです。
ありがとうございます。
色々な作品、まだ全然読めてはいないのですが、これを機会に読んで行きたく思います。勿論、蒼碧様のも!
だんごまるみへの応援コメント
とても素敵なお話でした!
なりたいものを一緒に探す、少しだけ前へ足を踏み出してみる、
虫たちの勇気がいいなあと思いました。
また明日。明日はクワガタムシに会えますように。
読ませていただき、ありがとうございました。
作者からの返信
数多くの作品の中か、見つけて、読んでくださり、更にコメントにレビュー評価まで……本当にありがとうございます。
虫の話という事で、読む人を選ぶ題材となっておりますが「勇気がいいなぁ」と仰ってもらって、喜ばしい限りです。
こちらこそ、本当にありがとうございます。
励みになります!