第2話

ワンコの散歩だから、下はデニムに上はフーディ、靴はスニーカという格好ではあるけれど、髪の毛はポニーテール。見た目で「女の子」ってわからない?

それともこれがジェンダーに対する配慮ってやつ? でもでも、それなら「男の子? 女の子? どっち?」って、聞いてきても良くない?


そもそも女の子か男の子かわからいで声かけてきたってこと? つまり、どっちもアリ……ですか……?



「……女の子……です」



それでも答えてしまう愚かなわたし。しかも愛想笑い付き。



「さわってもいいかな?」



それはさすがにNG!


初対面同士がキスするシーンから始まる連ドラを見たことあるけれど、現実リアルではいくらなんでも変態すぎる。

名前を名乗ったことを激しく後悔。でも名字までは言ってないから、ギリセーフ……だと思いたい。



「……ごめんなさい」



ダンクのリードをギュッと握りしめた。


大丈夫……だよね? いざとなったら、この……この……番犬が――って、ダンクは尻尾をブンブン振ってるーっ。



「サイズを測らせてもらえると助かるんだけど?」



意外にしつこい。

それにサイズって……丁寧にお願いされたところで、これはもう警察案件。



「……急いでるので……」



立ち上がって、ダンクのリードを引っ張った。



「そっか。ごめんね、引き留めて。その子、見た感じ大きいからサイズが気になったんだけど」



ん?



「ミニチュアダックスにしては大きいよね」



んん?



思いっきり彼の目線は立ち上がったわたしではなく、下の方、つまりダンクを見ている。

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