第2話
ワンコの散歩だから、下はデニムに上はフーディ、靴はスニーカという格好ではあるけれど、髪の毛はポニーテール。見た目で「女の子」ってわからない?
それともこれがジェンダーに対する配慮ってやつ? でもでも、それなら「男の子? 女の子? どっち?」って、聞いてきても良くない?
そもそも女の子か男の子かわからいで声かけてきたってこと? つまり、どっちもアリ……ですか……?
「……女の子……です」
それでも答えてしまう愚かなわたし。しかも愛想笑い付き。
「さわってもいいかな?」
それはさすがにNG!
初対面同士がキスするシーンから始まる連ドラを見たことあるけれど、
名前を名乗ったことを激しく後悔。でも名字までは言ってないから、ギリセーフ……だと思いたい。
「……ごめんなさい」
ダンクのリードをギュッと握りしめた。
大丈夫……だよね? いざとなったら、この……この……番犬が――って、ダンクは尻尾をブンブン振ってるーっ。
「サイズを測らせてもらえると助かるんだけど?」
意外にしつこい。
それにサイズって……丁寧にお願いされたところで、これはもう警察案件。
「……急いでるので……」
立ち上がって、ダンクのリードを引っ張った。
「そっか。ごめんね、引き留めて。その子、見た感じ大きいからサイズが気になったんだけど」
ん?
「ミニチュアダックスにしては大きいよね」
んん?
思いっきり彼の目線は立ち上がったわたしではなく、下の方、つまりダンクを見ている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます