シャオと鮪と、年越しの夜

 年末の夜、静かな部屋に、鮪の香りがふわりと漂う。

 シャオがそわそわと足元をうろつく。

「これは人間のごちそうよ」と言いながらも、私は一貫だけ、そっと餌皿に置いた。

 シャオは目を輝かせて、それをぺろりと平らげた。


 満足げに顔を洗い、おざぶにちょこんと座るその姿は、まるで「今年もよくやったね」と言ってくれているようだった。

 新しいクッションに身を預け、ソファでくつろぐその姿に、私は思わず笑ってしまう。

 なんて穏やかな年の瀬だろう。


 ホットミルクを飲みながら、財布を整える。

 明日はチュールを買いに行こう。

 この小さな命のために、私は今日も生きている。

 そんな気がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る