ペンライトの灯、心の灯

「GO LIGHT YOUR WORLD」のイントロが流れた瞬間、会場の空気がふっと変わった。

 ペンライトを折る音があちこちで響く中、母と隣の人が手間取っているのを見て、私はそっと手を伸ばした。パキッ。光がともる。まるで、心の奥にしまっていた何かが、そっと目を覚ましたようだった。


 生まれて初めて振ったペンライト。

 それはただの光る棒じゃなかった。

 胸の奥で、何かが震えた。

 ステージの上のゴスペル・クワイアは、まるで星のように輝いていた。

「希望」や「感謝」や「前向きさ」が、音楽になって降ってくる。

 私はその光の中で、ただただ、心を揺らしていた。


 次の日、私はSUNOに「ゴスペル」と打ち込んだ。

 歌詞を書いてみた。

 それらしくなればいい、と思っていたのに、出てきたのは、私の心そのものだった。

 あの夜の光、あの胸の高鳴り、あの一体感。

 それが、言葉になっていた。


 あの夜、私はただの観客じゃなかった。

 光を受け取り、光を返す、小さな灯火のひとつだった。

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