第5話 あの花火の日②
予想外の出演者のせいで、僕は淡々と花火を取り仕切る側に回らざるを得なかった。何故なら、彼女の顔は強張っていて、終始あまり喋らなかったからだ。
僕から離れた際に彼女が笑う姿を遠目に見た時、これ僕のせいじゃん。僕は、自分が花火に参加したことを単純に後悔した。彼女が来るなら行かなかっただろう。
彼女と度々目が合うものの、やはり踏み出せない。話しかけづらい。1時間近くにいて交わした言葉は、
これ。とか、それ。とかだった。
淡々と花火は終わっていく。仕掛け花火、小さな打ち上げ花火。次第にみんな無言になる。
最後は、男女別々に分かれて帰宅した気がする。
彼女に気を遣ってしまい、全く楽しめなかった僕は、やはり花火の日を機に県外の遠い大学に進学することを決意した。
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