2章 竜のくちづけ

第11話 召集

直人が「風神」のメンバーになってから数週間が経過していた。


直人から連絡を取ることは叶わず、向こうからの接触をひたすら待つだけだった。


安アパートの薄暗い部屋で、直人がコンビニ弁当の残骸を片付けている時、PCの通知音が鳴った。 専用のチャットツールに着信がある。相手はDIVERだ。


DIVER:「おーい、生きてる? 仕事だよん」


相変わらずの軽いノリだ。直人はキーボードを引き寄せ、返信を打つ。


EGLEYE:「いつでもいける」


直人は指定された時間に指定されたセキュアなチャットルームへと入った。

しかし、そこにいたのは、直人の知っているメンバーではなかった。


BY(SIRIN):「全員揃ったな」


DIVER:「はーい」


CHK(CHAMP):「遅えよ、ガキ」


EGLEYE:「……ちょっとまて、だれだあんたら?」


CHK(CHAMP):「おい、DIVER、説明してないのか?」


DIVER:「ごめーん、わすれてた」


CHK(CHAMP):「おい、ガキ。固定ハンドルは足がつく。追跡されないように変えるんだよ。お前もバカの一つ覚えで同じアカウント名使いやがって。所詮捨て駒だな!」


どうやら、こいつがCHAMPらしい。するとBYがSIRINか。


EGLEYE:「だが、わからなかったら?」


DIVER:「そしたら、それまでってことだねー」


EGLEYE:「DIVERは、そのままなんだな」


DIVER:「おいら、一応連絡係りだからね。それにこれは複数のアカウントの一つだから、特定されそうならすぐつぶしちゃうよ。あんたも次回のミッションのときには変えときなね。ミッションの途中で変えると足がつくから、ミッションごとに新しいのを使うんだ」


<つづく>

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