第10話 入口
CHAMP:「そんなもの、大した意味はない」
EGLEYE:「そうかな?そこにはアクセス元のアドレスと、セッションキーが含まれている。アクセス元のサーバーは海外サーバーを経由していたが、そこも解析した。俺には役に立たない。だが他の攻撃者にはどうかな?そうだな、例えばロシアとか中国のサイバー攻撃部隊とか」
CHAMP:「どうせブラフだ、そんな痕跡が残っているわけがない」
EGLEYE:「俺のPCにリモートアクセスした時があったな。俺のPCは自動でオフラインバックアップが走る。外部接続で自動ON/OFFするやつだ。そこに残っていたんだよ。お前たちが改ざんする前のログがな。電源がOFFになったタイミングだから気づかなかったのだろう」
もう手駒はない。ここで切られたらおしまいだ。
なにか言おうか?
いや、ここは相手が出てくるのを待つ!
数秒の沈黙後、チャットメッセージが流れてきた。
DIVER:「あーあ、だからやめといたらっていったのに、CHAMPが余計なことするから」
CHAMP:「うるさい、余計な口をだすな」
DIVER:「どうする、つぶしちゃう?」
SIRIN:「金にならん。突発的な作業は余計な痕跡を残す」
DIVER:「じゃあ、どうすんのさ」
またしても間があいた。よし!
EGLEYE:「俺がお前たちの仲間ってことは、自分でわざわざ危ない橋をわたるわけがないだろう?それにこの痕跡は渡す。ようは共犯者ってことだ」
DIVER:「共犯者だってww」
SIRIN:「まあよかろう」
CHAMP:「おいおい、マジか?」
SIRIN:「生きの良いやつは面白そうだ。俺達を脅すなんて度胸がいい。いざとなれば撒き餌にでもなってもらうさ。ちょうど捨て駒も使い切っちまったしな」
CHAMP:「かわいそうに、ろくな死に方できないな」
EGLEYE:「痕跡を渡そうか?」
SIRIN:「いらんよ。どうせコピーがあるだろ」
直人の指は、画面に映る自分のアカウント名EGLEYEから、その時初めて、新たな物語の始まりを感じていた。
<漆黒の入口 完。2章へつづく>
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