ブラックホール 最後のサイバー攻撃集団

雨後乃筍

1章 漆黒の入口

第1話 風神

 日本に「能動的のうどうてきサイバー防衛法ぼうえいほう」が施行され「国家情報局こっかじょうほうきょく」が設立されてから、数年が流れた。


 かつてボランティア精神と有志によって成り立っていた日本のサイバー防衛は、今やその多くが国家敵対組織とみなされ、一部の人間は逮捕・交流され、また一部は「国家情報局」の外殼組織に取り込まれていった。


 隣国との緊張が続く中、日本は諸外国からの執拗なサイバー攻撃に晒され続けていた。


 攻撃の標的として、全世界の実に8割の攻撃が日本向けだと言われるほどだった。


 そんなとき、世界のサイバー攻撃者に宣戦布告を突きつけたアカウントが、暗闇の最深部に存在した。


 その集団は自らを「風神ふうじん」と名乗り、ダークウェブ上で「我々は日本に敵対するサイバーテロ集団に対抗する」ことを宣言した。


 当時は、サイバー攻撃者に対して反撃行為を行うことは、「不正アクセス防止法」に抵触する違法行為であった。


 しかし、「風神」グループは、その痕跡を一切見せることなく、世界中のサイバー攻撃を未然に防ぎ、対応攻撃を行うことで、数々の悪名高いサイバー攻撃集団を白日のもとにさらしていった。


 彼らの働きによってインターポール、CIAの摘発が誘導され、次々と世界のサイバー攻撃の拠点が潰されていったのだ。


<つづく>

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