第14話 着艦

 艦の進行方向に対して左舷側から進入し、いったん艦尾を通過して反転。これが「ブレイク」だ。高度約600フィート、速度150ノット。Gを感じながら大きく旋回する。

 イーサンの眼前には、オレンジ色に輝く光点 - IFLOLS(光学着艦装置、通称ミートボール)が見える。それを目安に降下角を3°を基準に微調整する。光点が中央にあれば理想的、上にずれれば高すぎ、下なら海へ突っ込む。

 汗ばむ手でスロットルを微妙に動かし、迎角を保つ。艦は風上へ向かって進み続けている。眼下に広がるのは艦の後方が白く泡立つウェイク(引き波)。それをなぞるように飛ぶ。甲板は絶えず上下し、微妙に揺れている。

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