アパートのリビングに、クリスマスのランチョンマット。

 百均の使い捨てだって十分かわいい。


 シャンパン二つとオレンジジュース。

 出来合いのチキンと、サラダにオードブル。

 さきほど買ったクリスマス・ケーキにサンタがのっている。


 柊家のクリスマス・パーティーは滞りなく進行中である。


 クリスマスソングを歌い。 

 ケーキをたらふく食べ。


 そろそろおひらきにというころ、クリームをこれでもかというほど口周りにつけたはうが言いだした。


「ボクこんどはひとりでお歌うたいたい! きいて!」


「はうのコンサートか」

「いいね。やってよ」


 聖さんと並んで拍手する。

 戦隊もののテーマソングかな。

 と思っていると、


「ちゃらららら、らら~」


 うん、なんだか聞き覚えのある前奏だが、アニメにしてはちょっと渋め?



「♪いっそしんでしまおうと~~あなたのあとをおって~~」


 ……おもっ!

 昭和初期の演歌だった。


「どうもありがとうござした~」


「はう、その歌はどこで?」


 聖さんに、種をあかす。


「お散歩でよく会うおばあさんに教えてもらったらしくて……。最近ブームなの」

「はは。パパにも教えてくれるか?」

「いいよ!」



 我が家のイブ。しめの一曲。

 切ないムード歌謡が、明るく楽しく響き渡った。


「月夜の一人酒~こんやもわたしは~~枕濡らしています~~」

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