⑥
アパートのリビングに、クリスマスのランチョンマット。
百均の使い捨てだって十分かわいい。
シャンパン二つとオレンジジュース。
出来合いのチキンと、サラダにオードブル。
さきほど買ったクリスマス・ケーキにサンタがのっている。
柊家のクリスマス・パーティーは滞りなく進行中である。
クリスマスソングを歌い。
ケーキをたらふく食べ。
そろそろおひらきにというころ、クリームをこれでもかというほど口周りにつけたはうが言いだした。
「ボクこんどはひとりでお歌うたいたい! きいて!」
「はうのコンサートか」
「いいね。やってよ」
聖さんと並んで拍手する。
戦隊もののテーマソングかな。
と思っていると、
「ちゃらららら、らら~」
うん、なんだか聞き覚えのある前奏だが、アニメにしてはちょっと渋め?
「♪いっそしんでしまおうと~~あなたのあとをおって~~」
……おもっ!
昭和初期の演歌だった。
「どうもありがとうござした~」
「はう、その歌はどこで?」
聖さんに、種をあかす。
「お散歩でよく会うおばあさんに教えてもらったらしくて……。最近ブームなの」
「はは。パパにも教えてくれるか?」
「いいよ!」
我が家のイブ。しめの一曲。
切ないムード歌謡が、明るく楽しく響き渡った。
「月夜の一人酒~こんやもわたしは~~枕濡らしています~~」
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