イブ当日。

 静岡駅まで出て、はうとともに、聖さんを待つ。


 ささやかながらツリーやリースが飾ってある駅構内は、せわしなく人々が行き交う。


「あ。あれかな」

「みえないー」

「わかったわかった」


 はうを肩車してやる。


「聖さん、こっち~~‼」


 制服姿の夫はこちらからはすぐわかる。


「パパかっこいいーー‼」


 かちっとした紺色の帽子とベスト。夫は警察官をしている。


「はう。ふゆさん。遅くなりました。約束のケーキです」

 はうがケーキの箱にテンション爆あがりしているうちにと、彼にこそっと耳打ちする。

「ほんとはこっちのケーキこそ一日遅れにしたかったんだけど……。プレゼントも遅れてとなるとさすがにね……」

「まま、ボクケーキ明日でもがまんできたよー?」

 お。きいていたか息子よ。

「ほんとかな、はうー??」

 からかうようにほっぺをつつく。

 食いしん坊の己がそれは無理だろう。

「うん! だってママにシールプレゼントできたもん!」

「え?」

「さんじゅーのシール、まま大好きだもんね‼」

「ちょっ、はう、声小さくしようね……!」


 呆れたように聖さんが苦笑して見てくる。

「ふゆさん。俺にもクリスマスを祝うくらいの稼ぎはあるんですから」

「そうだけどさー」

 一日ずらしただけで同一製品に『30パーセント引き』が貼られると思うと、ね……。


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