⑤
イブ当日。
静岡駅まで出て、はうとともに、聖さんを待つ。
ささやかながらツリーやリースが飾ってある駅構内は、せわしなく人々が行き交う。
「あ。あれかな」
「みえないー」
「わかったわかった」
はうを肩車してやる。
「聖さん、こっち~~‼」
制服姿の夫はこちらからはすぐわかる。
「パパかっこいいーー‼」
かちっとした紺色の帽子とベスト。夫は警察官をしている。
「はう。ふゆさん。遅くなりました。約束のケーキです」
はうがケーキの箱にテンション爆あがりしているうちにと、彼にこそっと耳打ちする。
「ほんとはこっちのケーキこそ一日遅れにしたかったんだけど……。プレゼントも遅れてとなるとさすがにね……」
「まま、ボクケーキ明日でもがまんできたよー?」
お。きいていたか息子よ。
「ほんとかな、はうー??」
からかうようにほっぺをつつく。
食いしん坊の己がそれは無理だろう。
「うん! だってママにシールプレゼントできたもん!」
「え?」
「さんじゅーのシール、まま大好きだもんね‼」
「ちょっ、はう、声小さくしようね……!」
呆れたように聖さんが苦笑して見てくる。
「ふゆさん。俺にもクリスマスを祝うくらいの稼ぎはあるんですから」
「そうだけどさー」
一日ずらしただけで同一製品に『30パーセント引き』が貼られると思うと、ね……。
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