第2話 誕生と絶望
28年前ー
とある産婦人科で赤ちゃんが生まれた。
両親は元気な男の子の声を聞き歓喜した。
助産師「芹沢さん〜、元気な男の子ですよ〜」
母「まぁ〜かわいい〜」
そっと赤ちゃんを抱っこする母
その赤ちゃんは金髪でオレンジ色の瞳をした男の子だった
父「これから元気に育ってくれよ〜」
赤ちゃんを抱き上げてあやす父
父「この子は穏やかで優しい秋に生まれた。そしてこれからも穏やかで優しい季節に育つように名前は゛千秋゛なんてどうだ?そのまんま」
母「そうね。素敵な名前」
母は微笑んで生まれたばかりの千秋を抱っこする
母「千秋〜、お母さんだよ〜」
千秋「キャッキャッ」
無邪気に笑う
父「千秋、」
そっと千秋に手を近づけると千秋の小さな手は父の大きな指を包み込んだ
そして、この子が生後2ヶ月の時いきなり体調を崩してしまった
慌てて病院に連れて行く母
母「先生!!千秋が!!千秋が!!」
父「おいおい、大丈夫だって。ママ。」
父はそっと母を慰めるが初めての育児なので実は父も不安でならなかった
病院の診察室に案内された芹沢夫妻
そこで告げられたのは、
医者「この子は、先天性の心疾患です。生涯入退院を繰り返す生活になるでしょう。」
この言葉に母は泣き崩れる
母「千秋〜千秋〜」
父は絶句する
父「千秋、、、」
そして、3年のときが経った。
千秋は3歳になる。
物心ついた頃の千秋の最初の記憶は、白いカーテンで仕切られた病室そしてうまく起き上がれない自分の体、そして看護師や医者からの痛みを伴う検査を受けること。
千秋「うぅ…」
今日は千秋が体調を崩したので血液検査にエコー検査、画像診断を医者と看護師に施されていた。
付き添いの父と母は泣きそうになりながら千秋を見つめている。
母「千秋、千秋、ごめんね、」
父「千秋、大丈夫だからな。」
2人は見るからに絶望した様子だ
この時の千秋は思う。
千秋(俺が泣いたり痛がったらお父さんもお母さんも悲しむんだな。そうだ!俺が笑ったら喜んでくれるかな?)
千秋「お母さん、お父さん俺へっちゃっら!」
無理に笑ってみる千秋。そしてピースを父と母に向ける
母「あら〜そうなの〜千秋は賢いね〜」
千秋の頭を撫でて喜ぶ
父「千秋は強いな!」
千秋を抱きしめて喜ぶ
この様子を見て千秋は考えた
千秋(俺が笑って明るくしてれば、お父さんもお母さんも悲しまないんだ。)
そして、千秋はその後も入退院の日々が続いた。その度に、千秋は無理して笑う。無理して明るく振る舞うということを繰り返した。そうすると父も母も笑顔になってくれる。悲しまなくて済むんだと覚えたのだった。そして、彼はこの学習によって幼稚園でもたくさん友達ができた。幼稚園でたくさんの友達に囲まれる千秋はみんなが笑ってくれるように喜んでくれるようにそんな思いで友達と過ごしていた。
しかし、幼稚園もまともに行けないまま小学校に上がった千秋だった。そして卒園式の時、彼の周りには友達がいなかった。ずっと、入退院を繰り返したことで友達とは疎遠になっていたのだった。そして、千秋は考える。
千秋(俺に友達ができてもどうせ離れ離れなんだな、、)
小学校に上がった千秋は持ち前の無理した明るさを使いたくさん友達を作った。
しかし、それでも千秋は頻繁に体調を崩し入退院を繰り返してしまう。そして、いつもいつも痛みを伴う治療に検査。これを日々受け続けていく。当たり前の日常なんてなかった。小学校になんてまともに通えなかった。そのため、気づいたときには友達は離れていきみんな別世界にいるのだった。
そんな中、彼が小学校3年の6月ー
母からある知らせを聞く
それを聞いた千秋は驚いた顔をする
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます